Eno.684 シジリ・クロバ

□――□*(スクラップブック*)

「お腹いっぱいになった?ふふ、それは良かった。」
「え?助けてくれたお礼に…恩返しとして此処で働かせて欲しいって?」
「いえいえ、そんな…大したことはしてないわよ。やっぱり倒れてる方が居たら放っておけないもの。…え、何々?」
「…へぇ、あなたは“家屋を守る力を持つ神獣”なんだ。だから、その力をこのお店と、私の為に役立てたいのね。」
「私、神獣の方には詳しくないんだけれど…確か、人間と神獣が同じ屋根の下で過ごすには“契約”が必要なんだっけね?」
「…うん、実を言うとね。わたし、一緒に暮らせる人が居たらいいなって、思う事が時々あったの。だから、ちょっと嬉しい。」
「そうね。近いうちに、神獣についてよく知ってる知り合いの元を尋ねに行きましょうか。」
「…そうだ、まだ名前を聞いてなかったわね。良かったら、教えてくれる?」
「と、聞く前に、自分から名乗らなくっちゃね。私は“ミノリ”。 “クロバ ミノリ”っていうの。」
「…うん、そういう名前なんだ。…えっと、“シジリ”って呼んでいいかしら?…ふふ、わかった。そう呼ばせてもらうわね。」
「ふふ、よろしくね?」

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「生姜焼き定食とハンバーグ定食あがったわよ!12番テーブルに運んでもらえる?」
「うん、手際がいいわね。流石神獣さん、って感じなのかしらね、ふふふっ。」
「あなたの手際の良さ、お客さんにも評判が良いのよ。時々お店の様子を見に来てくれる隣のお店の方からも評判いいみたい。」
「だけどちょっと疲れてきてるんじゃない?無理は良くないわよ。他の店員さんにも出てもらうから、ちょっと休憩して来なさい?」

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「さて、今日はもうお店も閉めた事だし、夕飯を食べたら今夜は少し映画でも観ましょうか。」
「私が若いころ好きな映画だったんだけどね。久々に見たくなっちゃって。」
「冒険家の人が、大事な人の為に、宝を探して仲間と一緒に色々な場所を冒険するお話なんだけど…」
「お話がワクワクする感じなのはもちろんなんだけど…景色の写し方とかも綺麗で…色々な楽しみ方が出来ると思うわ。」

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「え?私とお店の為に…珍しい食材を探して持って帰ってきたいって?」
「…なるほど、図書館でそういう本を読んだのね。別に無理しなくていいのよ?私は今の状態でも十分だから。」
「…ん?これは自分の為でもあるんだって?あんまり長くならないようにするって?」
「そっか、此処を守るためにも、もっと広い場所に出る事で気づけることもあるかもしれないと。」
「……わかった。行ってらっしゃい。だけど無理はしちゃだめよ。厳しいと思ったら、すぐに帰ってくるのよ。」

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