Eno.75 旅ねずみのニイ

旅日記/6

 
空へと舞い上がった、この地の意思の光。
そして空に咲いた、大輪の光の花。

みんなで同じものを見て、思い思いに感慨を抱く。

何にも代えがたいような、綺麗な夜だった。


私が故郷を飛び出して、旅をすると決めた理由を思い出すような。
この夜の事を、忘れる事は無いだろう。

私は生まれ育った小高い山の上から見下ろすあの世界に、
どんなに私の知らないものがあるのかを、この目で見てみたかったのだから。


だから、私が旅をする事を止めるのは…今暫くは無いだろう。
世界にはまだ、見たことも無いようなものが、まったく知らないものが。
そして、途方もなく綺麗なものがあると知ったから。

意思なる晶、亡国レムリア……この地にまだまだ謎は残るけれど、
少しくらい謎があった方が惹かれるものだ、という事にして。

ひとまずは、次の旅路は故郷への道になる。
たくさんの土産話と、客人をひとり連れて。
乗り合いでの旅路は多々あれど、一人でない旅は久しぶりだ。

きっと、次も退屈しない旅になるだろう。




「この日記は……なんだか恥ずかしいし、荷物の底にしまっておこう」