7日目 森林
あの兎は、どこへ行ってしまったのだろう。
海藻が好きで、よく小枝で遊んでいた茶色い兎。
いつの間にか姿を見かけなくなっていた、可愛いあの子。
……なんて、考えるまでもない。
生きていたとしても、この島の行方を思えば再会なんて望めない。
それでも森まで探しに来たのは、
ただなんとなく、お祝いの雰囲気で満ちた拠点に居づらくて。
備蓄を使いきろうと用意されたご馳走に、沈みゆく島で喜ぶ皆の姿に、
水を差してしまう思考ばかりの頭ではうまくついていけなくて。
きっともう会えないあの子を、場を離れる口実にしただけだ。
ああ、でも。そろそろ雨が降りそうだ。
拠点に戻り、脱出に向けた準備をしなくては。
あの子の代わりには出来ないし、するつもりもないけれど。
提案を受けて一匹、譲り受けてもいいかもしれない。
理不尽に沈みゆく運命にあった小さな命。
人の手によって生きる道を開かれたその様は、とても他人事とは思えなかった。