Eno.694 源柚月

沈んでいった紙

 七日目・中のキロク


お姉ちゃんに連れられて叔父さんちに移った後も大変だった。ずっと伸ばさなきゃいけなかった髪を
もう必要がないから、区切りにしておいでと叔父さんにもらった2万円のお財布。
お姉ちゃんに頼めばよかったんだよ、一緒について行ってって。叔父さんは仕事だし、その日お姉ちゃんは
綺麗に見事なまでに寝坊して忙しそうだったのを、呼び止める勇気がなかったとしても。
あの時「わがまま」を言ってしまったらよかったのに。


そしたら中学の子たちにたかられて、変に切られることもなかったのに。
叔父さんはあれ、わかってたよ。空っぽのお財布に、バラバラの髪の毛みてさ
「ヘッタクソな美容師にあったたなぁ」なんて苦笑いさせちゃうこともなかったのに。

そのあと夜中なのにお姉ちゃんの友達がきてくれて、丁寧に揃えてくれたよね。




「でも二つ括りはないよな。あの人絶対女の子だと思ってたなぁ⋯」


「おかげでなんか癖っ毛が爆発したのかしらんけど⋯
 後ろに髪縛ったらアホ毛みたいに出てくるんだよね⋯」



「男らしさってどこから出るんだろう。
 ⋯やっぱり筋肉?歩き方?⋯服装⋯⋯うーん。」


「とりあえず似合うものから着ちゃお!
 メイクもしていいよね、韓ドルもやってるし。
 まずはスキンケアから⋯いずもりクンの真似っこだなこれは⋯」





「ばいばい、中坊の私。二度と浮かんでくるなよ⋯
 一緒にヒトデいれといたからね。寂しくないぞ。」