Eno.795 ロカ

石を積む男

石を積んで、積んで、積んで。
拠点の灯台から届く明りを頼りに、砂浜にも塔をつくる。
海の向こうの船に、確実に見つけてもらえるように。

石を積む。期待をこめて。
石を積む。願いをこめて。

きっと、祈りを積んでいる。


神のご加護が欲しかったんだ。
大いなる手とやらで、ぱぱっと毒の雨を振り払ってほしかった。
大いなる力とやらで、ぐわっと土地を生き返らせてほしかった。

怪我を治してくれるわけでもない。
食べ物を出してくれるわけでもない。
転落するやつを救い上げてもくれない。

透明な手だ。透明な力だ。
そんなものでしかないと、わかっていた。

仮に見てくれていたとして、こちらからは見えやしない。
触れることも、触れられることもない存在とわかっても。
一度知ってしまったら、もう、すがらずにはいられない。

すがりながら、そんなものと思っていた。
そんなものと思っていたから、祈りだって口だけだった。
都合のいい奇跡を望む戯言を、口から吐いていただけだった。


石を積む。
助けてほしいじゃなくて、助かってほしいと思えるようになった。

石を積む。
けっこうしんどいけど、うまいものを食ってきて元気じゅうぶん。

石を積む。
祈りというのは、きっとこんな風に、形を伴う必要があったんだ。

石を積んで、明りを灯して、海を向く。息を吸う。声を放つ。
海の向こう、船へ届くように、見つけてくれと、祈りを放つ。


今こうしているのは、皆と、この豊かな島のおかげだけど。
この島へ流れ着く前も、なんだかんだ生きてこられたのは。
身勝手な口だけの祈りをぶつけてきた、透明な存在が。
あの暗闇の中、支えてくれる杖に、なっていたんだろう。




っつーことで……。
サンキュー神さま!! 船!! 来ましたーーー!!
ま、一番の感謝は皆にだけど! イェ~~~!!!!
花火も上がってめでてぇなぁ! フゥ~~~!!!!