カノンペル村にて・始
砂時計にも似たかたちの奇妙な隆起が、青空の中にそびえている。
天辺は草木にまみれ、汗のようにツタを垂らしている。
緑はくびれにまで至り、こぶを形成している。鳥たちはあたりまえのように飛び回り、巣を作る。
そこから下は、ごく普通の山。
ふもとに目をやってみれば、町もある。
ここは魔族の世界、アル=ゼヴィン。
墜ちた島々がそこかしこに突き刺さった大地。
―――*―――*―――*―――

砂時計を見据える位置にある山。
その頂の湖で釣りをしている男がひとり。
手繰り寄せた糸の先には、耳のようなヒレをつけたナマズが一尾。

ほくほく顔でネコナマズをびくに収める男。
が、ふと、ザッザッ。後ろの茂みが踏み荒らされる音がする。
すわ野獣か、と警戒をしたら、現れたのはウニ頭の男、それと。


まだ音がやまない。
ザザッザザッ。さらに後ろから、四つの足が踏み荒らす。
現れたのは、青と白の毛皮のドラゴンの仔。
首輪をしているが、縄はない。

釣り人がぽかんと口を開けていると、ウニの男は彼を見下ろして言う。



ウニ頭の男は仔竜とともに、釣り人の指した方へ歩き去っていった。
天辺は草木にまみれ、汗のようにツタを垂らしている。
緑はくびれにまで至り、こぶを形成している。鳥たちはあたりまえのように飛び回り、巣を作る。
そこから下は、ごく普通の山。
ふもとに目をやってみれば、町もある。
ここは魔族の世界、アル=ゼヴィン。
墜ちた島々がそこかしこに突き刺さった大地。
―――*―――*―――*―――

釣り人
「うおっほう!」
砂時計を見据える位置にある山。
その頂の湖で釣りをしている男がひとり。
手繰り寄せた糸の先には、耳のようなヒレをつけたナマズが一尾。

釣り人
「久方ぶりにいいネコナマズだ、オレもツイてきた……」
ほくほく顔でネコナマズをびくに収める男。
が、ふと、ザッザッ。後ろの茂みが踏み荒らされる音がする。
すわ野獣か、と警戒をしたら、現れたのはウニ頭の男、それと。

ウニ頭の男
「……そこの」

釣り人
「へい……!?」
まだ音がやまない。
ザザッザザッ。さらに後ろから、四つの足が踏み荒らす。
現れたのは、青と白の毛皮のドラゴンの仔。
首輪をしているが、縄はない。

首輪をされた仔竜
「……」
釣り人がぽかんと口を開けていると、ウニの男は彼を見下ろして言う。

ウニ頭の男
「川沿いに村があると聞いたんだが」

釣り人
「村……ああ、カノンペル村ですかい。
それだったらそっちの踏み均されてる道を行きゃあ、今からなら日暮れまでには。
ってか、その竜の仔、どこで……」

ウニ頭の男
「すまんな。じゃあ」
ウニ頭の男は仔竜とともに、釣り人の指した方へ歩き去っていった。