Eno.652 早乙女ヤヤ


女子会でちょこっとだけ話した、ヤヤの中学の時のお友達。
名前はぬっくん。あっホントの名前じゃ無いよ。あだ名。
ヤヤがそうやって呼ぶと決まってヤダなーって顔してた。
響きが気に入らなかったみたいだけど、ぬっくんって可愛い素敵なあだ名でしょ。

ぬっくんはすごーく遠い山奥の村に住んでて、
ガッコーが近くに無いからって毎日チャリンコで頑張って登校してたガッツの塊みたいな子だった。
ぬっくんはオカルトが大大大大だーい好きで、暇さえあればあちこち行って。
よく立ち入り禁止のとこにズカズカ入るから先生にメチャ怒られてた。アハ。

なんかぜんぜんお互いの性格違うのに、ツルんでたら面白くなっちゃってね。
ぬっくんが部活は一人じゃ立ち上げられませんよーって先生に言われて。
途方に暮れてたから助けてあげた。ヤヤも一緒にやったげる~って。
それでヤヤとは三年間、オカルト研究部って名目で一緒に遊んでたの。

中学の時のヤヤはパパとママがお別れして、新しいママがきて、
パパは新しいママのことばっかりで。
新しいママもママで、ヤヤにどうしていいのかわかんなかったみたい。
ヤヤのこと引き取ったんならコッチも気にかけてほし~!みたいなね。
ぶっちゃけ気持ちがクシャクシャしてる時期だったかも。

でもぬっくんは超たんぱくだった~!たんぱく質!
「別によくね?」で一蹴しちゃったんだもん。エーッてヤヤが不満たらたらしても笑うだけだった。

大人にも大人の事情があんだから、俺達子供は振り回されるより振り回しちゃいな。
……だってさ。ぬっくんってたまに大人っぽくカッコつけるよね。
でもぬっくんの言う通りだったから、ヤヤもヤヤで好きなようにした。
深夜徘徊と廃墟探索と心霊スポット巡り、とっても楽しかったんだよ。
家のこととか、パパと新しいママのこととか、全部抜きにして。
何にも考えずにオバケ探してるの、すっごくすっごく楽しかったの。



ぬっくんは高校が別になってからもマメに連絡をくれてて。
(まあ、話題は大抵オカルト関連だったけど~)交流は続いてて。
ヤヤにとっては大事なお友達との繋がりがあって、結構嬉しかったんだよね。
ぬっくんにハテコーの事話したらすごく楽しそうだった。

でもぬっくん、今年の2月にぱったり連絡が途絶えちゃったの。
既読スルーも多くなって、4月にはアカウントも消えちゃった。
ってゆーか中学の時の他の友達に聞いても誰も覚えてなかったの!
そんなことあるわけないじゃん、ってアルバム開いたらぬっくんは写って無かった。

ヤヤびっくりしちゃった。ヤヤの三年間なんだったんだろ。
もしかしてイマジナリフレンズだったのかなって思ったらすっごく悲しかった。
ヤヤがつらかったから勝手に生み出しちゃった、まぼろしのお友達だったのかなって。



でもね、このむじんとーに来てから、ヤヤ思ったの。

ヤヤは2-1のお友達見てたらぜーったいに繋がりは残ってるって思った。
だって、過ごした時間は嘘じゃ無いもん。
確かに遊んで話して相談して、たまにはちょっぴり喧嘩して。
ヤヤとぬっくんの三年間はぜったいぜったい、イマジナリじゃ無かったよ。



さっき反復横跳びして船にぴょんってしたら、少しだけ電波が繋がったの。
こんな海のどこに基地局あるんだろーとか、どうでもいいや。
さっきの魔法が奇跡を呼んでくれてるうちに、ヤヤも奇跡に賭けてみたいの。


連絡先、消えちゃったけどね。
ヤヤはお友達の番号くらい諳んじられるんだから。甘く見ないでよねっ!