Eno.47 長曾我部・リンカーン・朝海

*『現実』






中学に上がるタイミングで、パパpapaiが死んだ。発砲事件に巻き込まれたらしい。
私が復讐心を抱く間もなく、犯人はその場で射殺された。


パパpapaiの実家はブラジルBrasilリオ・デ・ジャネイロRio de Janeiroで、祖母と二人で暮らしていた。

私は、息子を失った祖母を慰める役割で、リオの地を踏んだのである。


「結局、なんで私にアメリカ大統領の名前を付けたのか。
まあでも、奴隷解放で有名な人だし、芸名っぽくなる以外は嫌いじゃないな」



そこから、決定的に何かがおかしくなったように思う。
私は、私の精神こころ身体からだを守るため、スポーツに没頭した。

パパpapaiが日本に来るきっかけとなった柔術は、こちらではグレイシー柔術と言った。

髪の毛を掴まれないように、私は伸ばしていた髪の毛をばっさり切り捨てた。






……


大場てくのと私は、小学校が同じの、いわゆる幼馴染だった。

彼女も、他の子と比べるとなかなかエキセントリックな性格だったので、
特に仲が良かったのを覚えている。


「小学生顔負けの、なにやらすごい実験?をいつもしてんだよな~。
中学は、私が第二の故郷Rio de Janeiroに行ってたから
離れ離れだったけど、高校でまた出会えて嬉しかったあ~」




高校で出会った彼女は、あまり身長は伸びていなかったが
確かに大人びた感じがした。近づくと石鹸のいい香りがした。

実験の方は、相変わらず何をしているのかさっぱりだったが、なんとなく面白かった。
たまに、友達……否、助手として付き合ったりもした。

「じつはあの時、キムワイプの中身を鼻セレブにすり替えた犯人は私だったんだ……」




ふざけて肩に手を伸ばすと、あまりに華奢なのでびっくりする。
飯を食えと口癖のように言ったが、寝る間さえ惜しむ人なのであまり効果はなかった。


「かわいいな~~、てくのは!
肌が白くて、背も小さくて。同じクラスの三も、負けじとかわいいんだが」













「…………てくの。私は───」