拝啓、大切な貴方たちへ
ちょっとお使いに行くつもりが、
何やら妙なことになってしまいました。
見渡す限りの海、わずかな陸地、
そして沢山の境遇を同じくした人々。
幸いにしてこの島は豊かな海と陸の慈悲に恵まれ、
こうして研究のあとがきを書くことさえ、
許されているのですが。
サート。
貴方がいつか話してくれた絶海の世界。
この海は、おそらくそれに近いか、同じ海なのでしょう。
異常な速度と規模の海面上昇、
貴方が手作りの船に乗って帰ってきた、
その時の仲間たちの顔。
私が置かれた境遇と、とても似ています。
だからとて、私の経験が二番煎じだとは、
決して、言わせないことをお約束します。
貴方の口から聞けなかったこと、知らなかったもの。
私はそれを、
たくさん、たくさんこのヒレに抱えています。
この海は、そこに光があったのよりずっと後、
誰かの願いによって生み出されたものだということ。
願えば応える、されど願うだけでは生きられない。
そんな世界であることを、私たちは知りました。
この世界は富める海です。
けれど宝を抱えたまま沈んだ船のようでもあります。
私達の世界と自由に行き来できるようになれば、
多くの危険と発見をもたらすでしょう。
それが叶わないうちは、
私たちだけの特別な経験でいるでしょうけれど。
車椅子がなければ歩行もおぼつかず、
冒険になんてとても出られないお嬢様と、
私のことをまだそう思っているのなら。
考えは改めてもらおうかな、なんて思います。
海よ、我らに慈悲を与えてくださり感謝します。
友よ、私と共に生きてくれて感謝します。
朝靄の晴れた海の国で、
きっといつか、皆様とお会いできる日を楽しみにしています。
「……あとがきというより、お手紙ですね?」
「まあ、これくらい感情に浸っても、良いですよね?」
何やら妙なことになってしまいました。
見渡す限りの海、わずかな陸地、
そして沢山の境遇を同じくした人々。
幸いにしてこの島は豊かな海と陸の慈悲に恵まれ、
こうして研究のあとがきを書くことさえ、
許されているのですが。
サート。
貴方がいつか話してくれた絶海の世界。
この海は、おそらくそれに近いか、同じ海なのでしょう。
異常な速度と規模の海面上昇、
貴方が手作りの船に乗って帰ってきた、
その時の仲間たちの顔。
私が置かれた境遇と、とても似ています。
だからとて、私の経験が二番煎じだとは、
決して、言わせないことをお約束します。
貴方の口から聞けなかったこと、知らなかったもの。
私はそれを、
たくさん、たくさんこのヒレに抱えています。
この海は、そこに光があったのよりずっと後、
誰かの願いによって生み出されたものだということ。
願えば応える、されど願うだけでは生きられない。
そんな世界であることを、私たちは知りました。
この世界は富める海です。
けれど宝を抱えたまま沈んだ船のようでもあります。
私達の世界と自由に行き来できるようになれば、
多くの危険と発見をもたらすでしょう。
それが叶わないうちは、
私たちだけの特別な経験でいるでしょうけれど。
車椅子がなければ歩行もおぼつかず、
冒険になんてとても出られないお嬢様と、
私のことをまだそう思っているのなら。
考えは改めてもらおうかな、なんて思います。
海よ、我らに慈悲を与えてくださり感謝します。
友よ、私と共に生きてくれて感謝します。
朝靄の晴れた海の国で、
きっといつか、皆様とお会いできる日を楽しみにしています。
「……あとがきというより、お手紙ですね?」
「まあ、これくらい感情に浸っても、良いですよね?」