Eno.645 ヴィクトル・トート

報告12

No.14より、


バタバタしてるから、手短に。
島を脱出する為の船が出来た。
とうとう船まで作っちゃったよ。
氷室を作ったり、道路を作ったり、岩風呂を作ったり、灯台を作ったり……
とにかく作れるものはなんでも作ってきた生活も、そろそろ終わりだ。
持てるものだけを持って、僕たちは島を出る。
他は全部沈んでしまうと思うとちょっと残念だけど、
この島ではきっと何度もこういうことが繰り返されてきたんだろう。
僕たちが置いていくものも、そのうちまた誰かの役に立ったりするのかな。
なんか、不思議な感じがする。
たぶんもうすぐ。あともうちょっとだ。

『寂しくなるなぁ。もうすぐお別れだ、おれの荷車……』

「まあ、なんだかんだで楽しくはあったな。
 ……結局気に入ってるんじゃん、荷車」

『お前が名前をつけたからだろー。
 おれの名前がついてるものは、おれと同じなんだよ』

「それはわかるけどさ。準備で忙しいんだから。
 はい、記録終わり終わり」