Eno.322 Type-R

14日目

結局のところ。
奇跡を求める『目的』は僕の生存意欲と直結してしまったわけだから。
誰かに何を言われたとて、止まるものではなかったね。
ネヌの気持ちは一生解らない。嘘。千年くらいしたら解るかも。
それにしたって自己満足と責められる言葉が苦手だ。
そもそも生存欲求からならる本能から逸脱した自発的な行動なんて
全部自己を満足させるためのものだろう。
自身すらも満足のしない行動に身を捧げるなんて、そっちのほうがよっぽど不健全だ。


やりたいこと、やれたかな。
やっておきたいことは、やれただろうか。
料理を作った。美味しいものを作った。
人と喋った。もう少し下らない話もしたかった。
誰かと食事を分け合いたかった。これは出来なかったね。
ネヌと話をしてみたかった。凄く凄く拗れた。
イザヤと仲良くなりたかった。これは判定が難しいね。
手紙を書いてみたかった。これはこっそり砂浜から流した。
皆でそろって船に乗って脱出したかった。多分叶うと願っている。
後は皆揃って船の上で穏やかに過ごしたかったけどこれは多分無理


イザヤが言っていたが、僕に宿る衝動は呪いなんだろう。
間違いなくシュパーズがその身をかけて宿した呪いだ。
めでたく250年かけて拗らせる、なんだかすごい事になってしまったが、今の君が見ればどう思うかな。
馬鹿にして笑い飛ばしてくれるだろうか。


船に乗って脱出して、適当な海域に降りたら船を買おう。
素人が作成した奴じゃなくて、ちゃんとしたの。
流石にオリジナルも船の制作にまでは関わらなかったしね。
その為にもう少しばかりあとで海賊船にある財宝を漁ろうかな。
どれだけ長いか解らないが、待ち受けているのは船旅だ。
永遠に近い道程かもしれない。
きっと誰の記憶にも残らないだろう。
きっとモモとしての僕はそれで終えるだろう。
結果が結びつくのを、今から既に願ってやまない。
……イザヤから渡された御守りがあるんだ、ワンチャン通らないかな。


ただ……君たちの中に僅かに残るであろう『桃』は、
気の良くて優しい隣人で在りたかったが。
多分気の利かない最悪のクソ自己満足野郎になってる気がする。


――僕が残念だとおもうのは、そこだけだ。


まあ、なんだってどうだって関係ないものだ。
もう君たちと二度と会う事もないだろう。
だから解らないままで構わないし、理解してくれとも言わない。


ともかく、モモとしての短い日々は、これでおしまい。
きっとこの記録も、じきに島と共に沈んでいくのだろう。