Eno.715 岐志 定光

現状について13

バタバタとしていたからか何も考える余裕がなかった。

それでもベルさんのお陰でどうにか船の設置も出来たから、今は皆必要なものを用意して体を休めて、
島で出来る最後のことをして思い思いの時間を過ごしている。
ゆっくりと、この7日間過ごしていた島との別れを済ましている。

…名残惜しい。
沈んでいく島を見る度にそう想う気持ちがあるけれど、こうしている今も島は着実に沈んでいっていて、
いくら名残惜しくても、島と一緒に沈んでいくわけにはいかないと思える心がある。

でもきっと、皆さんと過ごす前の僕だったら、一緒に沈んでしまってもいいとどこかで思っていたかもしれない。

線路の白線の先。埠頭から見つめる青い沖。
決して踏み出せないと分かり切りながら、僕はそれをずっと見つめ続けていたから。