Eno.152 ハイドランジア

おぼえてゆくこと

目眩く変わっていく空。
見たコトのない動植物。
知らない異星の物語り。

あの日、あの場所、あの時間。

小さな縁の掛け違いが無ければ、一生味わうコトのなかったであろう出来事の数々。

ソレはきっと、大冒険と呼ばれるモノなのだろう。
たくさんの経験値を積んでレベルアップするコトが期待されるような、そんな一大イベントなのだろう。



だけど、ボクはボクが何か大きく変わったのだとは思えない。

劇的な出会いをしただとか。
誰かに人生を救われただとか。
一生を誓うラブロマンスだとか。

そんな華々しいモノはない。



ただ、ほんの少し日常の見方が変わっただけ。

今日はニクのサンドイッチを頼んでみようだとか、
書店に並ぶ詩集の帯の言葉に目を惹かれるだとか、
まったく知らない異星の文化に想いを馳せるとか。

そんなささやかな楽しさへの気づきが、ちょっぴり増えただけなのだろう。



そして、ボクはこの大冒険で知った。

そんなささやかな楽しさが、どんな日常だって色鮮やかにしてくれるコトを。