Eno.473 真白野 陽子

よん

 群れの中では、役割を果たさなければならない。

それは正しいものだと信じていた。森では動けない一人を抱えて生きてはいけない。
どこでも、きっとそうだ。

……しかし、それに例外があることを知っている。
少女が病気になった時”じじい”は少女を救うために一人でなんでもやった。
そして少女も、日々動けなくなる”じじい”のために一人で森を駆けた。

だけど。
だけど、その例外は――


 目を覚ます。嵐後の熱波の中、不意を打ってきた獣と殺しあったところまでは覚えている。
どうやら、上手く追い払えたようだが……何故治療されていて、拠点の部屋で寝かせられているのかは分からない。
 部屋の前まで見舞いに来たフクは、ナハトが治療したと言っていた。
他にも、様々なものたちがその治療の手伝いをし、部屋まで運んだと。

 この群れは、自分という群れと協力関係であるだけと思っていた。
であれば自分は欠けても構わない一人でしかない。まして、ケガをした足手まといなど。

 体を起こして外に出れば、皆安堵し、今までの猟果に感謝してきた。
彼らにとって、自分は協力関係の一つではなく、同じ群れだったようだ。
しかも、足手まといを救うほどに。

それは、ナワバリ居場所ではないのか?

分からない。分からないからそう思っておくと言えば、ナハトはそれで良いといった。