Eno.171 ノノ・パジュ

おもいで、ひとつめ。

『貴様等も遭難には気を付けろよ』


少し前から、飲み会で酔いの回ったロクド君が事あるごとに口にしていた言葉。

あんまりにもしみじみ言うもんだから事情を聴いてみれば、船で出張先まで行こうとしたところで大嵐に襲われて、気付けば無人島に漂流していたとか。その島では魔法が使えなくてすぐに帰れなかったとか。同じ境遇の人たちが居て、キノコに狂っていったとか。毎夜熾烈なアヒルバトルが繰り広げられていただとか。

酔っ払いの戯言だなぁ~って、頷きながら長い話を聞き流してた。




















うーん、聞き流さなきゃよかったのかな。

目を覚ませば波の音。
じっとりと肌にまとわりつく砂粒。

そして。

ビッチャビチャの、あたしの家棲み処の本






聞き流さなきゃ、流されなかったのかなー……。