Eno.502 多比良 夜伴

【-そのあとの話-】

くらりと目が眩んだ。

軽く頭を振って、視界を元に戻すと辺りに視線を向ける。
足元には倒れた咎人。
青い空も海も、山も漂着船も見当たらない。
まるで夢でも見ていたかのような気分に閉口した。

「…いや、もしかしたらほんとに夢だったのか…?」



しかし自分の姿に目を落とせば、いつものコートは腕にあるし、マフラーの代わりに手ぬぐいを巻いている。
完全に島での服装のままだ。
おまけに持ち帰ろうとしたもの…何故かめざしも入っている。何でだ…?なんだか大事なものの気がしたので、そっとポケットにしまい直した。

床に伏したまま動かない咎人を足で小突いても反応は無い。
既に事切れているようだ。
…こいつの呪具で飛ばされて、死んだ事で呪力が切れたのと島での法則が重なった結果無事に帰れたのかもしれない。
しかしまあ、当人から話を聞くわけにもいかないので真相は闇の中だ。


とにもかくにも、めちゃくちゃ疲労感がすごい。やばい。
応援を呼んで後処理は任せてしまおう。

今はゆっくり風呂に浸かって、とにかく眠りたい。


…そういえば船が完成した後、茶を飲んでから記憶が曖昧だ。
他の奴らも無事に帰れたのだろうか。

「…挨拶しそびれたな」



まさか酔って花火を打ち上げたりしただなんて思いもしない。


_______________________________________




『(…~~~♪)』



こうして帰宅した俺は眠りに落ち、案の定悪夢に魘される事になる訳で。
しかしそれもひとつの電話でかき気消される事になる。

《暗夜迷宮 9更新『風雲急を告げる春の嵐』に続く》




その後、スマホの画像フォルダに知らない物や見覚えがある物が出てきて驚くのはまた別の話。