Eno.635 シュリ

武士の忠義

甘い夢は間もなく終わる。
思い出の他に得たものはそう多くない。

この地の獣の革で作った、古き国の名を戴いた外套。
最初の浜辺に流れ着いた、飴色に輝く黄玉トパーズの指輪。
そして、過去を流し去り、我を主に選び定めた者。

平穏な生にいざなうこともできたろう。
けれど、それを望まぬこともまた知っていた。
選択を恐れる目の前に新たな選択を突きつけ、
世界の壁を越えてその忠義を我がものとした。

こうして運命を変えたことが罪ならば、
我が生涯の覚悟を以て贖おう。

弱き心は島に置き去り過去のものとし。
これより先は名誉ある道をただ強く。
命をかけるに値する、唯一無二の主として。

その選択が間違っていたと、二度と嘆くことのないように。