Eno.704 アスエリオ

アスエリオの手記29


いよいよ島が沈むから、
沸騰号に乗っていざ──

出港だ

  ◇

島での生活は、とても楽しいものでした
おはなしで読んだみたいな
美味しいものがいっぱいで
他のみんなと過ごすのも楽しくて

あっという間の休暇だったな
でもこの経験があるから
楽しかったという思い出があるから
きっと前に進めるよね

  ◇

私たちは、改造人間
普通の人間とは違うモノ

魔法が使えないはずの身体に
強引に呪紋を刻み込まれて
疑似的に異能を開花させられた
それが、私たち

呪紋を刻み込まれた際の
負担が大きすぎて死ぬ子もいる
生き残ってもいずれは
“作戦”の際に散る可能性のある命

私たちの命の価値は 軽い
ジェミニが死んでも
魔局長は当たり前のように
彼なりの日常を送っていました

そうだね 何にも変わらない
私たちが死ぬ程度では
魔局を変えることなんて出来ない

そんな私たちは人間とは言えない
自分を純粋な人間とは言い張れない
自分が分からなくなっていた
ならば私たちは、何なのだろう

いつか魔局を出られたのなら
その時こそ、ちゃんとした
“人間”になれますか

異能なんてなくてもいいの
私は平穏が欲しかった
それだけなんだ