Eno.253 羊之イズミ

義門イズミの前日譚

私は元々、義門寛次郎の第一子、長男の息子として生まれる予定だったという。
義門イズミ義門 is Meとして。

生まれたのは男児ではなかったが、姓名のはそのままイズミであった。
しかし、姓名のはそうもいかない事態に陥った。

第一子、長男である私の父は許嫁を捨て、後妻との子がイズミであったからだ。
そのため父と、後妻と、私の名を巡り親族とでトラブルがあったらしい。

父は親族たちによって義門家を去るように仕向けられた。
またケジメとして性を捨てるように言われた。

義門家の"義"の字の部首、羊部を取って羊之という苗字が与えられた。

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父は医者だった。

後妻である私の母が重い病に倒れた時、父が執刀医だったらしい。
母が亡くなった時のことは覚えていない。私はまだ幼かったから。

私も父により医者の道を志された。

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それから20年、幾何か。私は医者に成れてしばらく経ち
義門家と父とのしがらみがようやく薄れつつあった時

私を父は義門家との橋渡しの証……また、あわよくば義門家の籍を残すため
義門イズミとして他の名家ちょうどよかった婚約者とくっつけようと画策したのだ。

その婚約者に合わせて、年齢も偽装させて。27歳のところを17歳に
医者という肩書も、もう必要が無いらしい。

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だから私は自身の血が嫌い。