Eno.919 クーツェ・イゼール

遭難日数12日目(!)記録 クーツェ

全員が船に乗ったわけじゃない。
意識して残ったのかはわからない。
花火も不発で最後は締まらなかったが森の中を駆けて救助船へ向かう。
潮位が上がっていたこともあって走りにくかったけど救助船の近くへ到着し、急いで乗り込んだ。

エンジンを駆けていたこともあって、少ししたところで救助船が汽笛を鳴らし島から離れていく。離れたところで朝焼けで島が沈むかのように海の中へ消えていく姿を見た。

「・・・。(また会おう。なにか達。)」

なにか達がくれたアイスクリームが完全に解けてしまう前に船の上で食べる。
やがて背後から光が強くなっていき、振り返った先には何もない水平な海に朝日がご来光をもたらすそんな光景だった。
やがて船は僕たちの作った船と距離を置いて並走する形となる。

向こうから手を振るうのに対し、こちらも手を振るう。
向こう側の船は新天地を目指す船、僕たちが乗っているのは故郷へ帰る船。

海に出る前にちゃんと僕は大声で言った。
「僕は忘れない。良い旅をそしてまたいつか会おう。」

さよならは言わない。生きていればまた会える可能性があるのだから
島に滞在した日数は僕の故郷の日数で14日間。
出会った遭難者たち、出来事を僕は忘れないだろう。忘れることもできないだろう。



港町に戻ってきたら船長はどんな顔をするだろうか?
ちゃんとお土産を持って帰るのでもう少し待ってもらえるだろうか?
今は少しこの船で休ませてもらおうと思う。