・神崎の手記(傷つく事を恐れずに)
救助船に着いて息も絶え絶えの中、みんなと再会出来た事を喜んだ。
もし、彼女に死ねと言われたら、それでも良いかと思ってしまう程に俺は弱い人間だった。
“特別”な人にそれほど“依存”している事にも気が付いた。
もう、大丈夫。俺は俺の中にある“正しい”が“本当に正しい”か常に更新し続ける。
周りのみんなの意見や、様々なモノを見ていくと決めた。
俺の選択が“本当に正しい”モノかどうかは、多くのモノに触れないと分からない。
その過程の中で、俺が“正しい”と思うモノが、
“特別な人と同じ”であったなら、それはただ嬉しい事であって、
正しかった事への“証明では無い事”に気が付いたから。
俺はいつまでだって日々更新し続けるつもりだ。試行錯誤は得意なんだ。
それが必要なのは、自分の“気持ち”に対しても同じだっただけなんだ。
傷つく事が怖くて、間違わないように“状況”に合わせて振る舞ってきた。
でも、それは“感情に向き合う”という試行錯誤を止める事だった。
俺は試行錯誤をし続ける。そう心に誓って、周りを見た。
……あろうことか、ニシュはまだケロッとした風に皆と楽し気に話をしていた。
沈みゆく島の中、必死に彼女を背負いながら、慣れない全力疾走をしたんだぞ……
ずぶ濡れと言っても過言ではない自分の状態。
楽観的に状況を捉えたままの彼女の明るい談笑。
……この感情は呆れであり、そこから変化した怒りだろう。
「分からず屋に効く薬ってあるか? 今すぐにでもニシュに処方するべきだ」
数名が驚いた表情を浮かべる。
随分冗談が上手くなったなという言葉が何処かから聞こえた。
冗談を言ったつもりなど微塵もない。
「神崎が私の下着が丸見えでも気にしないって言うの!!」
耳の良い彼女は俺の中にある“正しい”とは違う“正しい”を口にした。
俺の言葉に対する意趣返しだろう。
傷つく事を恐れず“状況”に合わせた振る舞いばかりしないと決めた
俺をあまり甘く見るなよ。やるなら徹底的にやってやる。
「島が沈む寸前だって言ってるのに何が下着だ。布だろ。布材」
平常心を崩す事など皆無と言ってもいい彼女が声を荒げた。
「ただの布ですって!?!?!?!?!?」
「ただの、布!!!!」
徹底的にやると決めた俺も言葉を返す。
「いや、絶対に俺の方が正しい。ニシュが間違ってる。
俺、最後の方、体表面積の半分以上海に浸かるような状況だったのに
布が見えること気にしてたんだぞ。俺に理がある」
それ以上は言わない方がいい。謝った方がいいという言葉が聞こえた。
確かに場を混乱させかねないような事を言っているのは分かる。
“状況”に合った振る舞いでは決してないだろう。
だが、今の俺が間違った事を言っているとは思わない。
「嫌だね。謝罪は非がある方がする行為だ!」
それを受けて、彼女もどうやら臨戦態勢に入ったようだ。
いいだろうとも、こちらも望むところだ。
「わかったわ、神崎」
「私の下着をただの布だと言うのなら、今すぐここであなたも服を脱いで頂戴な」
「ただの布ならいいハズだわ? どうせ私には見えないんだから」
随分的外れな意見だ。まるで先程の状況が考慮されていない。
「命の危険が迫る状況下で下着がどうだと
言ってる事に関して話しているので、今この状況は同条件では無い。
つまりは優先順位を考慮すれば、
あの時は下着なんぞただの布だったと言っているんだ」
彼女はしばらくの沈黙を経て、再び言葉を返す。
「あら、神崎。今あなたは命の危機に瀕しているのではないの?」
「私はそれはもう、カチンと来たわ。
しばらくあなたを見なくても良いってくらいに」
「命の危機で無いならまぁいいわ。ほっとくから。ふんっ」
俺もしばらくの沈黙の後、再び言葉を返した。
「好きにするといいさ。ただ、俺の知らない所で
命の危機にでも瀕して信用を裏切った時にはただじゃおかないからな」
カチンと来たから危ない目に遭ってしまいました。なんて言ってみろ。
鈴でも付けて彼女の望んでいない“犬”みたいな状況にでもなんでもしてやる。
それが嫌なら俺の信用に応えて危険な目になんか遭うな。
俺に君を“信用”させてくれ。
きちんと君と“対等”に言葉を交わせるようにその意見を尊重させてくれ。
「そんな事知った事じゃないわ!」
「私の目にはどうせ何も見えないんだから!
あなたが勝手にやきもきしていたら良いわ、私知らない」
そう言い切ると何処へ行ったのかは分からないが、彼女はその場を後にした。
もはや俺の口からはため息しか出なかった。
疲れたから休むよとみんなに伝えた後、俺もその場を後にした。
船員の人に休める場所を聞いて、そこで体を休める。
それまでの間ずっと、
“状況”を知らずに楽観的に振る舞う彼女に対する“不満”を口にし続けて……
もし、彼女に死ねと言われたら、それでも良いかと思ってしまう程に俺は弱い人間だった。
“特別”な人にそれほど“依存”している事にも気が付いた。
もう、大丈夫。俺は俺の中にある“正しい”が“本当に正しい”か常に更新し続ける。
周りのみんなの意見や、様々なモノを見ていくと決めた。
俺の選択が“本当に正しい”モノかどうかは、多くのモノに触れないと分からない。
その過程の中で、俺が“正しい”と思うモノが、
“特別な人と同じ”であったなら、それはただ嬉しい事であって、
正しかった事への“証明では無い事”に気が付いたから。
俺はいつまでだって日々更新し続けるつもりだ。試行錯誤は得意なんだ。
それが必要なのは、自分の“気持ち”に対しても同じだっただけなんだ。
傷つく事が怖くて、間違わないように“状況”に合わせて振る舞ってきた。
でも、それは“感情に向き合う”という試行錯誤を止める事だった。
俺は試行錯誤をし続ける。そう心に誓って、周りを見た。
……あろうことか、ニシュはまだケロッとした風に皆と楽し気に話をしていた。
沈みゆく島の中、必死に彼女を背負いながら、慣れない全力疾走をしたんだぞ……
ずぶ濡れと言っても過言ではない自分の状態。
楽観的に状況を捉えたままの彼女の明るい談笑。
……この感情は呆れであり、そこから変化した怒りだろう。
「分からず屋に効く薬ってあるか? 今すぐにでもニシュに処方するべきだ」
数名が驚いた表情を浮かべる。
随分冗談が上手くなったなという言葉が何処かから聞こえた。
冗談を言ったつもりなど微塵もない。
「神崎が私の下着が丸見えでも気にしないって言うの!!」
耳の良い彼女は俺の中にある“正しい”とは違う“正しい”を口にした。
俺の言葉に対する意趣返しだろう。
傷つく事を恐れず“状況”に合わせた振る舞いばかりしないと決めた
俺をあまり甘く見るなよ。やるなら徹底的にやってやる。
「島が沈む寸前だって言ってるのに何が下着だ。布だろ。布材」
平常心を崩す事など皆無と言ってもいい彼女が声を荒げた。
「ただの布ですって!?!?!?!?!?」
「ただの、布!!!!」
徹底的にやると決めた俺も言葉を返す。
「いや、絶対に俺の方が正しい。ニシュが間違ってる。
俺、最後の方、体表面積の半分以上海に浸かるような状況だったのに
布が見えること気にしてたんだぞ。俺に理がある」
それ以上は言わない方がいい。謝った方がいいという言葉が聞こえた。
確かに場を混乱させかねないような事を言っているのは分かる。
“状況”に合った振る舞いでは決してないだろう。
だが、今の俺が間違った事を言っているとは思わない。
「嫌だね。謝罪は非がある方がする行為だ!」
それを受けて、彼女もどうやら臨戦態勢に入ったようだ。
いいだろうとも、こちらも望むところだ。
「わかったわ、神崎」
「私の下着をただの布だと言うのなら、今すぐここであなたも服を脱いで頂戴な」
「ただの布ならいいハズだわ? どうせ私には見えないんだから」
随分的外れな意見だ。まるで先程の状況が考慮されていない。
「命の危険が迫る状況下で下着がどうだと
言ってる事に関して話しているので、今この状況は同条件では無い。
つまりは優先順位を考慮すれば、
あの時は下着なんぞただの布だったと言っているんだ」
彼女はしばらくの沈黙を経て、再び言葉を返す。
「あら、神崎。今あなたは命の危機に瀕しているのではないの?」
「私はそれはもう、カチンと来たわ。
しばらくあなたを見なくても良いってくらいに」
「命の危機で無いならまぁいいわ。ほっとくから。ふんっ」
俺もしばらくの沈黙の後、再び言葉を返した。
「好きにするといいさ。ただ、俺の知らない所で
命の危機にでも瀕して信用を裏切った時にはただじゃおかないからな」
カチンと来たから危ない目に遭ってしまいました。なんて言ってみろ。
鈴でも付けて彼女の望んでいない“犬”みたいな状況にでもなんでもしてやる。
それが嫌なら俺の信用に応えて危険な目になんか遭うな。
俺に君を“信用”させてくれ。
きちんと君と“対等”に言葉を交わせるようにその意見を尊重させてくれ。
「そんな事知った事じゃないわ!」
「私の目にはどうせ何も見えないんだから!
あなたが勝手にやきもきしていたら良いわ、私知らない」
そう言い切ると何処へ行ったのかは分からないが、彼女はその場を後にした。
もはや俺の口からはため息しか出なかった。
疲れたから休むよとみんなに伝えた後、俺もその場を後にした。
船員の人に休める場所を聞いて、そこで体を休める。
それまでの間ずっと、
“状況”を知らずに楽観的に振る舞う彼女に対する“不満”を口にし続けて……