思い出
ぼんやりと海を眺める。
未来にいるジーンとの会話をなんとなく思い出していた。
ちゃんとお別れを、とは言われたが、既に大半の人間たちとは船が分かれてしまっている。
宴会の最中、別れの言葉で盛り上がりに水を差すのも気が引けて、ヴィクトルは何も言わずにさすラビ号を離れた。
船を移る者は他にもいたから、姿が消えたとしても、誰も気にはしなかっただろう。
花火と喧騒から遠ざかり、ヨナだけを連れて砂浜に停泊する救助船に向かう。
その時は、やっぱり少し、寂しかったかもしれない。
けれども自分は必ず帰らなければならなかった。
ほんの少しでも、不安の少ない選択をしなければならなかった。
何故ならこの世界に来たのは、事故だからだ。
アリアドネが動かない限り、回収される見込みはない。
それがたとえ、命の尽きた後だとしても。
自分という存在のことをヴィクトルは知っている。
極めて慎重な取り扱いをしなければならないことも。
この海のことを嫌いではなかった。
だから、悪いモノを置いていくわけにはいかない。
「……ばいばい」
船は分かれたとはいえ、さすラビ号の姿はまだそこに見ることが出来る。
さすがに、声は届かない。
まあ、届かなくても構わないのだ。
せっかくみんなで作ったあの船が、宴会場として終わるのでは些か残念だった。
だから、役目を果たせて船もきっと喜んでいるだろう。
全員、無事に帰れるといい。
お土産と思い出をたくさん持って、ヴィクトルはそのまましばし航海に身を委ねる。
未来にいるジーンとの会話をなんとなく思い出していた。
ちゃんとお別れを、とは言われたが、既に大半の人間たちとは船が分かれてしまっている。
宴会の最中、別れの言葉で盛り上がりに水を差すのも気が引けて、ヴィクトルは何も言わずにさすラビ号を離れた。
船を移る者は他にもいたから、姿が消えたとしても、誰も気にはしなかっただろう。
花火と喧騒から遠ざかり、ヨナだけを連れて砂浜に停泊する救助船に向かう。
その時は、やっぱり少し、寂しかったかもしれない。
けれども自分は必ず帰らなければならなかった。
ほんの少しでも、不安の少ない選択をしなければならなかった。
何故ならこの世界に来たのは、事故だからだ。
アリアドネが動かない限り、回収される見込みはない。
それがたとえ、命の尽きた後だとしても。
自分という存在のことをヴィクトルは知っている。
極めて慎重な取り扱いをしなければならないことも。
この海のことを嫌いではなかった。
だから、悪いモノを置いていくわけにはいかない。
「……ばいばい」
船は分かれたとはいえ、さすラビ号の姿はまだそこに見ることが出来る。
さすがに、声は届かない。
まあ、届かなくても構わないのだ。
せっかくみんなで作ったあの船が、宴会場として終わるのでは些か残念だった。
だから、役目を果たせて船もきっと喜んでいるだろう。
全員、無事に帰れるといい。
お土産と思い出をたくさん持って、ヴィクトルはそのまましばし航海に身を委ねる。