依頼の報告
それはフートが帰路の船旅を終えた、少し後の話になる。
『ああ、あんた山のカンムリ亭のフートさん?』
「ええ……魔導書の……
お届けの依頼を受けていたのですが、そのぅ……」
荷物袋の中には、
かつて魔導書だった混沌とした書き置きと、
少しの研究成果が入っている。
依頼人が同好の士であるなら、あの世界での記録も、
気に入ってくれて依頼の失敗を少しは和らげられるだろうと。
『海の国の中心から船で?』
「こ、細かいことは良いじゃないですか……
今彼はおでかけですか?」
けれど依頼人は留守であった。
その家は、窓も閉め切ってなんだかしいんとしている。
不審に思ったフートは、こうして近所の人に
話を聞いているところであった。
『ここのおじいさん?……そのねぇ言いづらいんだけど』
『なんか逮捕されちゃったんだって。
なんでも何も知らない魔導師の若い人を使い走りにして、
禁書をコレクションしてたとかなんとかって……』
「えっ」
『異世界転移とか異世界召喚に興味があるみたいで、
俺も分からんなりに話聞かされてたけど。
まさか禁書に手を出すほどとは、
好奇心って怖いよなあ。』
「……ええ、まったく、ですね……」
後に宿の親父に聞くところ、
依頼人の若い魔導師はむしろ被害者側で、
無害な魔導書にカモフラージュされた禁書を、
人から人の手へと渡すハブにされていたとの事であった。
『全く不幸中の幸いだったじゃないか。
お前さんが魔導書をダメにするなんて、
よっぽどのことがあったんじゃないかって、
ワシはそっちも不安だったが……』
フートは色んな意味で安堵した。
この元禁書……書き置きを、思い出の品として、
ただ自分の手元にそっと置いておくだけの理由が、
一つできたのだから。
『ああ、あんた山のカンムリ亭のフートさん?』
「ええ……魔導書の……
お届けの依頼を受けていたのですが、そのぅ……」
荷物袋の中には、
かつて魔導書だった混沌とした書き置きと、
少しの研究成果が入っている。
依頼人が同好の士であるなら、あの世界での記録も、
気に入ってくれて依頼の失敗を少しは和らげられるだろうと。
『海の国の中心から船で?』
「こ、細かいことは良いじゃないですか……
今彼はおでかけですか?」
けれど依頼人は留守であった。
その家は、窓も閉め切ってなんだかしいんとしている。
不審に思ったフートは、こうして近所の人に
話を聞いているところであった。
『ここのおじいさん?……そのねぇ言いづらいんだけど』
『なんか逮捕されちゃったんだって。
なんでも何も知らない魔導師の若い人を使い走りにして、
禁書をコレクションしてたとかなんとかって……』
「えっ」
『異世界転移とか異世界召喚に興味があるみたいで、
俺も分からんなりに話聞かされてたけど。
まさか禁書に手を出すほどとは、
好奇心って怖いよなあ。』
「……ええ、まったく、ですね……」
後に宿の親父に聞くところ、
依頼人の若い魔導師はむしろ被害者側で、
無害な魔導書にカモフラージュされた禁書を、
人から人の手へと渡すハブにされていたとの事であった。
『全く不幸中の幸いだったじゃないか。
お前さんが魔導書をダメにするなんて、
よっぽどのことがあったんじゃないかって、
ワシはそっちも不安だったが……』
フートは色んな意味で安堵した。
この元禁書……書き置きを、思い出の品として、
ただ自分の手元にそっと置いておくだけの理由が、
一つできたのだから。