Eno.497 葵 夏月

家、帰るらしい。

ついでに、ここは”異世界”ってヤツらいい。マジか。

船酔いで船室にこもってる間に別の船が接触してきて、
そこの爺さんに聞いたらしい。
どこまで本当なのかわからないが、
まあ……思い当たることは無かった訳じゃないしな。

それに例え嘘でもそういう希望はあった方が、良いと思う。
結局のオレ達は高校生で。
帰れる希望のひとつも無かったらどこかで
ぽっきり心が折れるかもしれないからな。
福尾とか究ならそういう奴らを慰められるかもだけれど、
オレには無理だしなー。



それに、本音は帰りたくないなんて悟られるのもイヤだしな。
別におじさん・・・・が悪いワケじゃない。
もちろん、母さんが悪いワケでもない。

でも、母さんたちが再婚して、半年。
家の中に少しずつおじさんのものが増えて行って。
代わりに父さんのものが無くなっていく。

すげーーーーーイヤだ。
段々父さんのものが、存在が……思い出がなくなってくみたいで。
オレたち家族の家が、別のものになってくみたいで。
……正直、子供っぽいとは思うけど、それが本音。
こんなこと、誰にも言えやしないけどな。



あー……帰りたくねー。