Eno.318 ミュステ

ワールドファイル『オルタナリア』

オルタナリアは六つの国を持つ、魔法文明で栄える世界である。
地球人に似た姿をしている『サピエ人族』に加え、獣人・虫人といった各種の亜人種や妖精などの種族が共存している。
この世界において、『ニンゲン』とは何らかの手段で心を通わせることができる知的生命体の総称であり、サピエ人族も亜人種もみな『ニンゲン』である。

◯神話
オルタナリアに伝わる神話では、世界は『女神ミーミア』によって虚無の中に生み出されたものとされている。
ミーミアはオルタナリアに空や大地や海、様々な生物を作り出し、慈しみの眼で見守っていたが、ある時から世界は彼女の干渉や観測を受けつけなくなりはじめた。
そこでミーミアは、その時もっとも強く賢い生物だったドラゴンたちに世界の管理を任せることを決める。
彼らは話し合い、ミーミアの望む『考えうる全てが共存する豊かな世界』を実現する手段として、オルタナリア全土の土地を一体ずつで分け合いそこにそれぞれの『理想の国』を築くことにする。
国の主となったドラゴンたちは後に『始祖竜』と呼ばれることとなった。
だが理想をそのまま形にした国には長くはもたないものも多く、国と一つになって営みを続けている始祖竜たちも運命をともにしていく。
そうして最後には、現在に至るまで続く六つの国だけが残った。

一方、始祖竜たちは外なる世界からオルタナリアを狙って襲いくる『バケモノ』たちと人知れず戦ってもいた。
ところが国が六つとなって幾ばくかの年月が過ぎた頃、バケモノの王『ディナイア』が始祖竜の一体『アルゴルム』をそそのかし、他国を相手に戦争を起こさせた。
世界は炎に包まれ、六つの国の始祖竜たちはみな命を落としてしまう。

そうして始祖竜の庇護が失われたオルタナリアに、ディナイア率いるバケモノたちが攻め込む。
始祖竜が死してなおも生き延びていたニンゲンたちだったが、バケモノ相手にはなすすべもなかった。
だが、オルタナリアが滅ぼされるかと思われたその時、天から閃光とともに『勇者』が現れた。
勇者は始祖竜たちの力を受け継ぎ、バケモノたちをなぎ倒し、ついにはディナイアをも討ち滅ぼしてオルタナリアに平和を取り戻した。

時が経つと再びバケモノが現れだしたが、新たな勇者も都度現れ、オルタナリアの人々とともに平和のために戦っていった。
バケモノとの戦いの歴史は今日の日に至るまで続いているのである。

◯六つの国
・ハナの国
大樹海に覆われた国で、その中心にそびえる巨大な樹木の内側に城がある。
住民の多くは虫人種で、国を治めるのは蜂人の女王。
病に蝕まれる女王メトスに代わり、娘のペタラ姫が近く王位を継ぐ。
そのはずであった。

・ウミの国
オルタナリアの海に広がる海底国家で、魚人や人魚などの種族が主な住民である。
海はスペースが広いせいか、巨大なバケモノが出没するため、安全な航海のためにはこの国の人々の協力が欠かせない。
強大な海軍を保有し、各地の海を回ってバケモノ退治をしている。

・モノの国
器物や動物が知恵を身につけ『モノノケ』となる現象が起こる国。
モノノケたちはニンゲンの定義に当てはまる存在であり、その多くが市民として生活している。

・チエの国
オルタナリアの智慧の中心と言われる国で、世界最大の名門魔法アカデミーを擁する。
始祖竜自らが魔法の神秘を著した『ドラゴングリモワール』なる書物が遺されており、その内容のすべてを解き明かすことを目指して人々は研究に明け暮れている。

・テツの国
痩せた土地にある国で、長らく目立たない存在だったが、近年機械技術を発展させ台頭しはじめた。
ロボットの開発もしているらしい。

・ユキの国
北方の雪に閉ざされた小国。
始祖竜最後の生き残りであるアノーヴァは、この国の神殿の地下に広がる氷の迷宮でひっそりと暮らしていた。

◯勇者
オルタナリアにバケモノが溢れ、危機が訪れたときに『地球』から召喚される戦士。
なぜか12歳前後の子どもが多いが、もう少し歳を重ねた者が来ることもある。
召喚される際、一人ひとりが『勇器(ゆうき)』と呼ばれる特殊な武器を授かって現れる。

先述の通り、勇者とオルタナリアの住民のバケモノとの戦いは長年に渡って続いてきた。
だが時代が下るにつれてオルタナリアの人々も戦いに慣れ、近年では勇者の扱いも軽くなりつつあった。
そして数十年前に現れた勇者『アスヤ』が世界に仇なす存在と化してしまう事件が起こり、現在のオルタナリアでは勇者に対する信頼が大きくゆらぎつつある。