Eno.526 鍋島直哉

「変な連中」


このクラスはうるせえ。

とにかく毎日大騒ぎお祭り騒ぎで、どいつもこいつも好き勝手やっている。
教師も手を焼いているぐらいで、要するに、ネガティブな方向ではないけどうるさい、
問題児だけど迷惑なのはうるさいぐらい、というところが問題なんだろう。

俺みたいな無駄口叩かず馬鹿をぶん殴る人間よりよっぽど上等なんだろう。
俺は普通に過ごしていた。うるせえ時はうるせえと言い、
どうでもいい時はどうでもいいと言って。
別に悪ふざけに全部乗らないわけじゃない。気が向けば……、

……気が、向けば。
俺は別にはしゃぐのが好きなわけじゃないが、
この1年で随分気が向くことが増えたかもしれない。

良くも悪くも、こいつらは他人より自分主義だ。
うるさいと思われても、自分の好きなことを好きな時にやる。
授業が終わったと同時に黒板にマントかけて一瞬で消す、みたいな手品をやった奴は、
「まだノートに書いてねーだろ!」とクラス中にボコボコにされていた。
頭いい奴に助けてもらわなかったらどうする気だったんだ、アイツ。
とはいえ、その頭いい奴も、ピンクのモコモコを放課後の実験室から溢れさせたりしていたわけだが。
「失敗は成功の母だから、このモコモコはママということになるか!」
なんて言ってたから体育教師にひっぱたかれてたな、頭を。
流石の俺もあれを「体罰」という気はない。

そんな風にどいつもこいつも派手に好き勝手にやるんだから、
俺がちょっとはめをはずしても目立たない。
我儘に不機嫌そうに振舞っても、だ。

俺は家では疲れないし、イライラしないし、できるだけ普通の…笑顔でいようとは思っている。
弟も妹も不安になるからだ。
母親も、会いに行くときはいい話を持っていく。

学校の話を、病室の花瓶の水を変えながらしていると、
母親はひどく喜んだ。

「直哉が楽しそうでよかった」
「…………疲れるけどな」
「楽しんで疲れるのはいいことなの。変に何もしないとナマっちゃうから。
それで?クラスの子達って、どんな子たちなの」
「んー……………。」

何と答えるか。
逡巡した後で、俺は答えた。