この海に 〜NEXT STAGE〜
「次のステージはァ!
”ハテコー”の船乗りビートボクサー!
JOE-SEEEENッ!」

歓声が波みてえに押し寄せる。
ここにいる奴ら全員、まとめて俺の船にノせてやるとき、
ちいせえ頃、大部の爺さんに手を引かれてった日の光景を思い起こす。
漁船の周りに広がる海。波が弾ける音。カモメの声。
重てえエンジン音に、船が揺れてガタつくリズム。
一生忘れねえ、俺のビートの源流。
時折妄想に浸る。
もし、幽霊がいたなら?
そうしたら、大部の爺さんは今頃、数多くの海を旅しているかもしれねえ。
太平洋、大西洋、全てが繋がる7つの海。
もしかしたら、”あの海”にさえ。
……なんてな。
これは”あの海”に行けねえ俺に代わって、誰かに歌を届けて欲しい。
そんな戯言だ。
俺が、”ハテコー”の船乗りとしてビートを刻むのは今年で最後。
俺のビートボクサー人生はまだまだこれからだし、
お前のことだって、ぜってえ忘れるつもりはねえけどよ。
思い出が遠ざかっていくってのは……
ちと寂しいよな。
♪
♫ ♪
♪ ♫
♬♪
♫ ♪
♩ ♪

「……おっと。
嬢ちゃん、いつからそこにいた?
こんなところで何してんだ」
「…………だれ……」
「俺ァ、漁師……
海で魚を捕ったりするやつだな。
ここは、俺が巡ってきたどの海よりも寂しがりな奴でよ。
たまにこうして歌ってやるのさ」
「うみ は……やだ……
かえりたい……」
「俺が送ってってやろうか。
この海は、不思議なとこでよぉ。
普通はありえねえ、奇跡みてえなことが起こる。
その気になればどんな海にも行けちまうんだぜ」
「ちがう
かえるところが……ない
どこにも……」
「………嬢ちゃん。
だったら尚更、俺と旅しようぜ。
どうせ行き場所がねえなら、変わんねえだろ?」
「…………わたし は……」
「さァ、乗ろうぜ俺の船に!」
「あっ!?
ま、まって……――」

♪ ♫ ♩
♪
♫
♪ . . . .
ねえ、アカリ。
彼には私の秘密をひとつ話したけど、
あなたのことはまだ話していないわ。
まあ、それは当然。
私の中では既に答えが出ていることだもの。
でも、近々話すつもりよ。
この船旅を無事終えて。
『彼』が『彼』であるという証明を成したその後に。
パパは真実を見ることはできない。
ママは、私が生まれる前に出ていったけど、
今もあなたを想っているのかしら。わからないけれど……
少なくとも確かなこととして、私は、あなたの存在を胸に秘めている。
だから、それを彼に打ち明けることで……
"あなたがこの世界で生きた"と証明したい。
なぁに、このぐらい話した程度で揺らぐ男じゃないわ。
そうよね? 薩摩隼人。
私が知る中で、誰よりも豪胆な男よ。
そうでなくても、そうでありなさい。
私と並び立つ以上はね!

TIPS
虎は強い♡
”ハテコー”の船乗りビートボクサー!
JOE-SEEEENッ!」

歓声が波みてえに押し寄せる。
ここにいる奴ら全員、まとめて俺の船にノせてやるとき、
ちいせえ頃、大部の爺さんに手を引かれてった日の光景を思い起こす。
漁船の周りに広がる海。波が弾ける音。カモメの声。
重てえエンジン音に、船が揺れてガタつくリズム。
一生忘れねえ、俺のビートの源流。
時折妄想に浸る。
もし、幽霊がいたなら?
そうしたら、大部の爺さんは今頃、数多くの海を旅しているかもしれねえ。
太平洋、大西洋、全てが繋がる7つの海。
もしかしたら、”あの海”にさえ。
……なんてな。
これは”あの海”に行けねえ俺に代わって、誰かに歌を届けて欲しい。
そんな戯言だ。
俺が、”ハテコー”の船乗りとしてビートを刻むのは今年で最後。
俺のビートボクサー人生はまだまだこれからだし、
お前のことだって、ぜってえ忘れるつもりはねえけどよ。
思い出が遠ざかっていくってのは……
ちと寂しいよな。
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「……おっと。
嬢ちゃん、いつからそこにいた?
こんなところで何してんだ」
「…………だれ……」
「俺ァ、漁師……
海で魚を捕ったりするやつだな。
ここは、俺が巡ってきたどの海よりも寂しがりな奴でよ。
たまにこうして歌ってやるのさ」
「うみ は……やだ……
かえりたい……」
「俺が送ってってやろうか。
この海は、不思議なとこでよぉ。
普通はありえねえ、奇跡みてえなことが起こる。
その気になればどんな海にも行けちまうんだぜ」
「ちがう
かえるところが……ない
どこにも……」
「………嬢ちゃん。
だったら尚更、俺と旅しようぜ。
どうせ行き場所がねえなら、変わんねえだろ?」
「…………わたし は……」
「さァ、乗ろうぜ俺の船に!」
「あっ!?
ま、まって……――」

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ねえ、アカリ。
彼には私の秘密をひとつ話したけど、
あなたのことはまだ話していないわ。
まあ、それは当然。
私の中では既に答えが出ていることだもの。
でも、近々話すつもりよ。
この船旅を無事終えて。
『彼』が『彼』であるという証明を成したその後に。
パパは真実を見ることはできない。
ママは、私が生まれる前に出ていったけど、
今もあなたを想っているのかしら。わからないけれど……
少なくとも確かなこととして、私は、あなたの存在を胸に秘めている。
だから、それを彼に打ち明けることで……
"あなたがこの世界で生きた"と証明したい。
なぁに、このぐらい話した程度で揺らぐ男じゃないわ。
そうよね? 薩摩隼人。
私が知る中で、誰よりも豪胆な男よ。
そうでなくても、そうでありなさい。
私と並び立つ以上はね!

TIPS
虎は強い♡