Eno.42 終末兵器

報道:あるニュースの話







──ハローハロー、こんにちは。

今日もAM19時を過ぎたところから、素敵な番組始まるよ!



それは主星の火星にて、チャンネルを切り替えていた。
耳たぶを指先で摘み、チューンを合わせるのだ。

これをするたび、いったい人類は何を思ってこれが便利であると考えたやら、と男は苦笑するほかななかった。
かといって、大昔は耳に機械を突っ込んでいたというから。それはそれで、便利ではなさそうな。

─外来敵性種を撃ち落とす時に、大きく飛ぶことがあるけれど。その時に落っことしそうだ、そんな小さいもの。

そんな空想を巡らせてみせて。
サンドイッチを2、3粒取り出せば口の中にふくみ、転がしながら、髪を結っている。
整えたチューンの中身に意識を落として。

初めは真面目なニュースタイム!報道のお姉さんよろしくね!

──報道の時間です。


くわ、とひとつあくびをしている。居住スペースだからできること。
油断ひとつ許している。サンドイッチを噛み砕いた。
聞こえてきた内容。へえ、と瞬きひとつ。

「…」

「水の星、すっ飛んだんだなあ」

見たこともない星の話をしていたが、しかしてその名前は歴史の記録に引っかかるところであった。
かつて人が住んでいたという水の星。
それが昨晩、爆発・・したのだという。
うん百年か、それくらい前に一度爆発してから二度めのこと。

今度はチリ一つ残していないとの、こと。

「くわばら」

歴史小説の言葉を引用した。
末恐ろしいことで。もう人がすまない星であるけれど。
その破片がこっちに飛んできたりなどしていないのは、不幸中の幸い。
今ある生活を過去の星にめちゃくちゃにされたら、そりゃあ大災害だ。

──なお、この爆発による飛来物でツキ・ステーションの一部が破壊されましたが、運行に影響はなく、修理が行われることも──


──次のニュースに切り替わる。