Eno.473 真白野 陽子

 帆を吊るす梁、ヤードの上で風を受けながら帰路についている。
船の上でもみんなは騒がしい。
というより、シマでも船でもこの群は騒がしかった。

 そして今、自分もその一員なのだ。

 しかしと不安を覚える。”街”ではどうか?
街では自分のやれることはない。今度こそ本当に”群れの役立たず”だ。
それでも下の皆は変わらず接してくれそう、だが。

 ――家の2人はどうか?

 今まで、あの2人は敵だった。森から街へ連れ出した敵。
しかし本当にそうだっただろうか?
このシマで、勝手に別ものと皆を遠ざけていたように、あの2人も、自分が遠ざけていただけではないか?

 会話が、必要なのかもしれない。苦手であっても。

 街への不安も、嫌悪感も、まだ完全には拭えない。
でも少しは向き合ってみようと、少女は思い、潮風に目を細めた。