Eno.42 終末兵器

─夢の話をしている。

終末兵器の中に偶発的、瞬間的に取り込まれた終末兵器も。

また瞬きの夢を見ているのだ。

彼が夢を見ているのなら──



◇ ◇ ◇



極彩色の庭園の色が見れているのです。

あちらは紅の色の花。

あちらは瑠璃色をしていて。

あちらはひまわりの色と、若葉の色に、輝いているのです。

はろー、はろー、はろーわーるど。


「私の声は届いていますか?」





きっと、届いているのでしょう。
届かなかった私の声。
交信する先のいなかった私の声を、あなたはきっとキャッチして、コネクトをしてくれているのです。
今ひとときの、あくびをすれば消えてしまう様な一瞬で。
きっと数秒、物思いに落ちたら、溶けてしまう様な、私の心のせかいなのでしょうが。


「………」



「…あなたにも、きっと心があるのです」



花冠を作る手を止めています。
くしゃくしゃの花冠、もう上達することもないのです。

外側に物思いをして、その重たいまぶたを下ろしました。

一瞬の輝き。

星を本当に滅ぼすその瞬間の海を、切り取って。
海洋世界は取り入れているのです。
私を。
私の星を。


「…………」



座りながら、天井を眺める様に、首を上へと向けました。
天井を見たところで、何か見えるわけではありません。
それどころが、急な、眠気の様な重さが襲ってきて、気を失ってしまうのです。

ですから、私は気を失いかけています。


手から滑り落ちた紅茶のカップが割れるのも。
食べかけのクレープにもったいないと思うのも。
読みかけの英雄譚を惜しく思うのも。
しあわせがあるよう願われたことも。


全を惜しく思ったところで、終わった話。


彼とてまた、終わった話なのでしょう。



「………」



「……本当に私一人で星を滅ぼせたのか、それはさっぱり分からずにいます」



「先に星を半分滅ぼしたあなたがいたから、私は無事、終末の知らせを届けられたのではないのでしょうか



「……」




「私ってドジですの。頭もずーっと悪くて、だから落とす星を勘違いしてしまっていますの」



「お兄様は落っこちてきただけですもの!ミッション、間違えていなかったのですわ」



「……たくさんの願いを受け取って、打ち上がっていますの」




「………」



「…わたくしには、わからないのですけれど」





「期待をいっぱいに背負って、いっぱいに考えたけれど、落っこちて」




「希望を受け取った人からは、無責任に責められて、きっと、ずっと怒っていたのかしら」




──なんて、戯言にしか、わたくしがはなすのはならないかしら。

私は、愛されていましたもの。




少女は意識を手放している。



これもまた、夢の話をしている。


彼女は、もういないのだから。