未来の書 二十二頁目
──シマから東京に帰って程なく、
僕は再び鹿児島の地を踏んだ。
僕が僕自身の誓いを果たすために。
待合に待つ彼女へ小さく頷いてから、
僕は刑務官さんの後ろについて、長い廊下を歩く。
『こちらです』
そう言って開かれた扉の先、
穴の開いたガラスの向こうには……、
他でもない、僕の母さんの姿があった。
「お久し振りです、母さん」
──母さん、僕はね。
聞いて欲しいんだ。
あれから僕が、どういう道のりを歩いたのか。
どんな気持ちで、何を考えてここまで来たのか。
僕の事、父さんの事。
学校の事、クラスメイトの事。
誰も知らないような無人島に漂着して、
不思議な体験をたくさんした事。
自分の背負うものを見せても、
なくならない居場所を得た事。
ずっと追いかけていた背中に追い付いて、
今、隣に居てくれるその人が、
誰よりも大事になった事。
ねぇ、母さん。
僕は聞いて欲しい。 驚いて欲しい。
母さんの思う通りには成れなかった僕だけど……、
今の僕は、そんな自分が結構好きだって事を。