*
ーーあの遭難から5年後、12月31日。
「それでは次の出場者は、今回初出場、国民的アイドルグループ、『うずめLily』の皆さんです!」
メンバー全員で、ステージに上がる。
役者さんとか芸人さんとかミュージシャンとか、有名人が横一列に並ぶ審査員席。ステージライブとは違う、どこか厳かな雰囲気さえする客席が、目の前に広がった。
「今回、センターを務める鶴岡さんは、来年の3月いっぱいでの卒業を発表されました。
今後は俳優として活躍される予定で、再来年の朝の連続テレビ小説への出演も決定しています。
鶴岡さんにとって、最初で最後の紅白歌合戦になりそうですが、如何ですか?」
司会者からマイクを渡される。
客席や審査員席からの拍手喝采が聴こえる。色々、感慨深いものとか、込み上げるものはあるけれど、ここは冷静に、だ。
「『うずめLily』は子供の頃からの憧れで、その一員になれたことを誇りに思います。それと同時に、ほんとうにたくさんのことを学ばせて頂きました。
プロデューサーやメンバーのみんな、ファンのみんな、ほんとうにありがとーーー!!!
……でも、もっと感謝したい人達がいるから、後でちょっとだけ時間もらってもいいですか?」
「それでは、『うずめLily』さんで、『マーメイド・ハイスクール』『走れMelody』『セーブポイント』のメドレー、3曲続けてお聴きください!」
夢にまで見た紅白歌合戦。
わたしは今、そのステージに立っている。
ストリームライブと春の東京ドームライブ、そして1月〜3月に池袋で開催予定のコラボカフェが終わったら、12年間続けてきたアイドルとしての活動を畳むことになる。
今やわたしは27歳。大学卒業を機に、という頃合い的にもちょうどいいだろう。悔いがないといえば嘘になるが、わたしの全てを出し切ったと思う。
今後は、大学院に通いながら役者をやるつもりだ。既にドラマの出演も何本か決まっている。
きっかけは、『うずめLily』が売れ始めて、色々なメディアでの活動が増えたとき、人気ドラマ『Doctor-Z』の、女性患者Bの役のオファーが来てさ。
それがうまくハマったみたいで、Pにも「君は役者の才能があるから役者目指してみたら?」って言われたんだ〜
でも、院進も諦めたくなくって、こういう結論に至った……ってワケ。相変わらずワガママだよね〜、わたし。
ドラマの主題歌になって今年ヒットした『マーメイド・ハイスクール』と、思い出が詰まったデビュー曲の『走れMelody』、そして、わたしが初めて作詞を手掛けた『セーブポイント』を歌い、踊りきり、客席に手を振る。
嵐のような歓声と拍手が、ホールのステージ、そしてわたし達に降り注いだ。ここまでファンを喜ばせ、熱狂させることができたのなら、アイドル冥利に尽きるというもの。
拍手が止むと、わたしからの『サプライズ』の時間だ。サプライズと言っても、裏でディレクターと話してあるから、あんまりサプライズ感ないんだけどね。
「再来年放送予定の連続テレビ小説『シマナガサレ』は、個性的な高校生達が臨海学校中に無人島に漂着してしまうという物語です。生き延びるために、楽しむために、それぞれが特技を活かしながら奮闘します。
そして、このドラマのモデルになった高校であり、わたしが3年間過ごしてきた思い出の母校。
果ての島高校、旧2年1組、共に無人島を生きたみんなに感謝を込めて、この歌を届けます。聴いてくださいーー」

「それでは次の出場者は、今回初出場、国民的アイドルグループ、『うずめLily』の皆さんです!」
メンバー全員で、ステージに上がる。
役者さんとか芸人さんとかミュージシャンとか、有名人が横一列に並ぶ審査員席。ステージライブとは違う、どこか厳かな雰囲気さえする客席が、目の前に広がった。
「今回、センターを務める鶴岡さんは、来年の3月いっぱいでの卒業を発表されました。
今後は俳優として活躍される予定で、再来年の朝の連続テレビ小説への出演も決定しています。
鶴岡さんにとって、最初で最後の紅白歌合戦になりそうですが、如何ですか?」
司会者からマイクを渡される。
客席や審査員席からの拍手喝采が聴こえる。色々、感慨深いものとか、込み上げるものはあるけれど、ここは冷静に、だ。
「『うずめLily』は子供の頃からの憧れで、その一員になれたことを誇りに思います。それと同時に、ほんとうにたくさんのことを学ばせて頂きました。
プロデューサーやメンバーのみんな、ファンのみんな、ほんとうにありがとーーー!!!
……でも、もっと感謝したい人達がいるから、後でちょっとだけ時間もらってもいいですか?」
「それでは、『うずめLily』さんで、『マーメイド・ハイスクール』『走れMelody』『セーブポイント』のメドレー、3曲続けてお聴きください!」
夢にまで見た紅白歌合戦。
わたしは今、そのステージに立っている。
ストリームライブと春の東京ドームライブ、そして1月〜3月に池袋で開催予定のコラボカフェが終わったら、12年間続けてきたアイドルとしての活動を畳むことになる。
今やわたしは27歳。大学卒業を機に、という頃合い的にもちょうどいいだろう。悔いがないといえば嘘になるが、わたしの全てを出し切ったと思う。
今後は、大学院に通いながら役者をやるつもりだ。既にドラマの出演も何本か決まっている。
きっかけは、『うずめLily』が売れ始めて、色々なメディアでの活動が増えたとき、人気ドラマ『Doctor-Z』の、女性患者Bの役のオファーが来てさ。
それがうまくハマったみたいで、Pにも「君は役者の才能があるから役者目指してみたら?」って言われたんだ〜
でも、院進も諦めたくなくって、こういう結論に至った……ってワケ。相変わらずワガママだよね〜、わたし。
ドラマの主題歌になって今年ヒットした『マーメイド・ハイスクール』と、思い出が詰まったデビュー曲の『走れMelody』、そして、わたしが初めて作詞を手掛けた『セーブポイント』を歌い、踊りきり、客席に手を振る。
嵐のような歓声と拍手が、ホールのステージ、そしてわたし達に降り注いだ。ここまでファンを喜ばせ、熱狂させることができたのなら、アイドル冥利に尽きるというもの。
拍手が止むと、わたしからの『サプライズ』の時間だ。サプライズと言っても、裏でディレクターと話してあるから、あんまりサプライズ感ないんだけどね。
「再来年放送予定の連続テレビ小説『シマナガサレ』は、個性的な高校生達が臨海学校中に無人島に漂着してしまうという物語です。生き延びるために、楽しむために、それぞれが特技を活かしながら奮闘します。
そして、このドラマのモデルになった高校であり、わたしが3年間過ごしてきた思い出の母校。
果ての島高校、旧2年1組、共に無人島を生きたみんなに感謝を込めて、この歌を届けます。聴いてくださいーー」

『星の記憶』