『光』に導かれて(後)

ミュステ
「みゅひゃー!
めっちゃおいしーにゃー! おかわりちょーだい!」

レグル
「お野菜 アノーヴァが 切たの
器用ね」

アノーヴァ
「わふっ。レグルも上手にやってくれたじゃない?
その……ムーフォーで」
食事の最中、ミュステがサッコにたずねてくる。

ミュステ
「ねーね!
サッコって、これまで『光』でどんにゃ世界を冒険してきたにゃん?」

サッコ
「ああ。
最初に行ったのはな……」
サッコの口から簡潔に、それでもなおボリューミーに語られる異世界の冒険譚。
途中からエリオも話を振られたり、アノーヴァも加えてジーランティスの話題になったりする。
未知の光景、いくつもの戦い、たくさんの仲間たちとの出会い。
ミュステは目を輝かせ、自分のお皿が空っぽになってからも、それらの物語を聞いていた。

ミュステ
「みゅううん……
みんにゃ、いっぱい冒険してきたんだにゃあ。
お皿かたづけて、もっと聞かせてほしいにゃん!
ねーねーねー!」

エリオ
「あ、あはは……
いいよ、今日はもうすることないし、ゆっくり話そっか」
―――*―――*―――*―――
そして、夜。
サッコ・ベノは村の広場に土を借り、根を張っていた。
毒茸である彼は、そうして眠る。
胸元にレグルも抱いて。
が、挨拶だけして寝に行くつもりだったエリオは、彼が浮かない顔をしているのに気づく。

エリオ
「……やっぱ、心配なの?
この村のこと……」

サッコ
「気にしすぎても仕方ねえよ。
もうTGにだって話は伝わってんだ、何もしてくれねーこたぁないだろ。
あとは、エルギの連中が他の話よりオイラに恨み向けてくれるって思うしか……」

エリオ
「そ、それだってダメでしょ!
キミになにかあったら、レグルだってどうなるのさ!」

レグル
「……」

サッコ
「……そうだな、すまねェ。
とりあえず、今日はもう寝ようぜ」

エリオ
「うん、おやすみ……」

アノーヴァ
「……」
村長の家の近く、ひっそりと会話を聞いていたアノーヴァは、家の中に戻っていく。
すると、ミュステの声が聞こえてくる。

村長
「ミュステ……?
どうした、寝るんじゃないのか?」

ミュステ
「みゅっ。
ミューねえ、ムラオサさまに相談があるの……」
―――*―――*―――*―――
次の日の早朝。
荷物をまとめたサッコとレグルは、ふもとへ向かう出入り口にいた。
村民たちも集まってきている。

ヤレッサ
「サッコ兄ちゃんの話、めっちゃおもしろかったぜ!
また遊びにきてよ! いっぱい冒険してきてから!」

サッコ
「ハハハ……そーだな。
楽しみにしてろ?」
別れの挨拶をかわしていると、後ろからアノーヴァが軽く駆け足でやってくる。
ソリを曳きながら。その上にミュステも載せて。

ミュステ
「みゅみゅーん!」

アノーヴァ
「おはようございます、皆さん!」

サッコ
「おう、おはよう。
お前らも元気でな……」

ミュステ
「んーん!
ミュー、アノーヴァとこのまま村を出てって、冒険することにしたのにゃん!
ムラオサさまにもお許しいただいたのにゃん」

エリオ
「……え、えええ!?」

サッコ
「……なるほどな。
でも、すぐ冒険ってワケにはいかんかもしれねえ。それでもいいか?」
TGに相談し、一時的に彼女らの身柄を保護してもらう。
それがサッコの思いつきだった。

ミュステ
「みゅーん、いいよっ。
サッコ、ミューのためににゃんか考えてくれてるんにゃよね?」

サッコ
「ああ。
オイラもがんばるよ。ミュステがなるべく早く冒険に出てけるようにさ」
こうして、サッコたちはカノンペル村を後にした。

村長
「サッコ・ベノォー!
ミュステをよろしく頼むぞォ!」
朝焼けの空の下、二人の少年と仔竜の曳くソリとが、長い下り坂を降りていく。
村民たちの声が、出入り口からずっと先まで、彼らの背を押していた。
〜 To be Continued 〜