Eno.549 雪島ススギ

*てんしのあゆみ

あの摩訶不思議な海からみんなで帰って。

検査入院だとかなんだかんだあったけど、それも落ち着いてから、かかりつけの病院へ書類を出しに行った。

治療方針の同意書。

選んだ方にちゃんと丸をつけて、署名をして。

パパとママにも伝えて、名前を書いてもらった。

パパもママも、ススギが決めたならそうしよう、って言って、抱きしめてくれた。

みなもんに抱きついて泣いたときみたいに、またわんわんと泣いてしまった。

平気とは、まだいえない。こわいなって思ってる。

でも、嫌になったときも、苦しくなったときも、寄りかかれる人はいるって、分かってるから。

どんなススギでもみんなはちゃんとススギだよって言ってくれるから。

一通りの細かい説明を受けて、本当に大丈夫ですか、と先生に聞かれる。

頷いて、背筋を伸ばして、頭を下げた。

「お願いします」



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少しだけ、背が伸びた。

少しだけ、声が変わった。

少しずつ、からだが変わっていく。

前みたいに、軽々と木に登ることは少なくなった。



それでもススギは、天使だよ。

飛べなくなっても、歩けばいい。

天使の歩みは、まだ止まらない。