Eno.652 早乙女ヤヤ

またね!



「どうよ、学校の方は」

「すーっごく楽しいよ。今ねー、学校の皆と船の上にいるの!」

「そうなんだ?
 いいね夏って感じで。臨海学校とか?」

「そんな感じ~。クラスメイトも個性的!」

「へぇー。ヤヤが個性的って言うならよっぽどだな」

「どーゆー意味?」

「イヤそのまんまの意味ですけど……
 まあいいじゃん、それよか教えてよクラスメイトのこと」

「いいよー、ひとりずつ教えてあげる!櫂くんはねー、泥水飲んでた!」

「ほらもう初手からおかしいじゃねえか!!」

「でも櫂くんはすごいんだよー、皆の事よく見ててねえ、何でもチャレンジするの!」

「泥水もそのチャレンジの一環ってこと?
 ドえらいチャレンジャーも居たもんだな……」

「紺くんは魔法が使える!」

「おっと二人目にして雲行きがアヤしいな」

「てくちゃんは科学が使える!」

「科学が使えるって何?
 もしかしてこのノリ最後まで続く感じ?」


「二人とも夢に一生懸命でねー、本当に叶えちゃったんだ。
 紺くんは魔法を使ったし、てくちゃんは科学で船作ったの~」

「ま、まあ、情熱的な魔法使いと科学者がいるクラスは良いかもね。
 魔法……船……?

「朝ちゃんはね、明るくて、とっても名前が長くて、楽しいの!」

「同列で並ぶその情報はよくわかんないけど……。
 ヤヤが楽しいって言う奴はみんな打てば響くような会話の
 面白い奴が多いからなあ。その朝ちゃんって子もたぶん陽気な良い子なんだろね」

「本名は長曾我部・リンカーン・朝海ちゃんだよ!」

「マジで長いやん」

「ナナちゃんはね~男子~って言いながら木を200本くらい持ってきてくれる!」

「過去イチ意味不明な情報出てきたな……女子?」

「うん!」

「原木運搬車?」

「女の子だよぉ!!」

「さいで……」

「困った時にぴゅーんって行ってね、すぐ助けてくれるんだから!」

「やっぱ原木運搬車だったりする?」

「女の子だってば!!」

「さいで……」

「あとねえ、メイちゃんは」

「ビームが出ます」

「ビームが」

「そう……出ます……ビーム!」

「そっかあ……」

「光りますっ!」

「そっかあ……」

「波璃くんはすごいんだよ~!いっつも冷静でねー、
 フカン?してる感じ~」

「そのクラスの中で冷静でいられるのもう才能でしょ。
 俺ここまで聞かされてそのクラス俯瞰できる自信無いよ」

「すうちゃんは……山からやって来た!」

「猩々たちいる?」

「あとすうちゃんは芭蕉を憑依させるの」

「芭蕉を!? 松尾芭蕉を!?」

「あ、山からやって来たと言えばヨコちゃんも野生から来たんだって!
 イノシシをねえ、よく頭に乗せてるの」

「それはもう伊之助なのよ」

「直くんはねえ、面白いんだよ!お話してて楽しいし、
 言い回しが、えーっと……ケイミョーって奴!」

「軽妙のこと?」

「そうそれ!」

「貴重な人材だなあ……」

「そしてこのクラスにはなんと!アイドルがいますっ!」

「純粋にすごい」

「アイドルの恋愛事情とか聞いちゃった」

「そこらの週刊誌よりすごい」

「浴衣も作ってくれたんだ~!」

「そこらの服飾店よりすごい」

「ボクサーも……います!」

「えー、泥水飲水者、魔法使いと科学者と原木運搬車とビームの出る奴と
 アイドルと猩々と芭蕉と……ボクサー?」

「うん!」

「もうわかんねえよそのクラス!!」

「ママもいるんだよ~」

「話のハンドルの切り方メチャクチャすぎるだろ。
 ボクサーの後に出されるママなんなの」

「同級生の男の子のママ!」

「あってたわハンドル」

「サトちゃんは写真が上手くて~」

「ふぅ、やっと軌道修正されてきたな」

「あと紺くんのお姉ちゃん」

「同級生なのにお姉ちゃんなの?」

「そうだよ~!」

「軌道がメチャメチャになっていく……」

「リカちゃんは旗を描いてくれたんだ~」

「へえ~。どんな旗?」

「猫ちゃんと虫ちゃん!」

「独特~」

「それからそれから、夏くんはツッコミが得意!」

「いちばんかわいそうだな……同情しちゃうよ俺……」

「どして?」

「胸に手を当てて考えて」

「わかんな~い」

「そっかあ」

「あとねえ、ゴブくんはどこでも寝ちゃう元気な男の子だよ!」

「ゴブ?」

「あだ名がゴブリンくんなの」

「すごいあだ名」

「虹色に……輝くの……!」

「すごい性質」

「最近やっと表面をクリアして、今裏面に挑戦してるの!」

「マリオの話してる?」

「ゴブくんの話だよ?」

「そう……」

「三ツ星シェフもいま~す!」

「一周まわって新しいな。
 学園モノ漫画でもここまで各位のポテンシャル尖ってないよ」

「シェフのごはんはおいしくてね~、
 中華のフルコース全員に作ってくれたの!」

「すごすぎ」

「スギちゃんは天使で、空を飛んだよ!ふわーって!」

「魔法使いがいるからな……あながち間違いと言えないのが何とも……」

「ホントだよう!
 あとね、きらりんは皆の事、ホントによく見てくれてる。
 梟くんママに比べたらこっちはパパ!」

「両親揃っちゃったかぁ……」

「パパといえば究くんもかもしれない。
 究くんはさりげなーくヤヤ達のこと助けてくれたなあ。
 ママ一人、パパ二人!」

「複雑な家庭になっちゃった……」

「モンちゃんはね、モンちゃんはー……
 優しいけど、モンちゃんの悩みとかヤヤ聞いてあげられなかったなー」

「なんだ、みんな等身大の男女なんじゃん。
 良いクラスメイトに恵まれたな、ヤヤ」

「うん!帰ったらねえ、モンちゃんの悩み事とか!
 いっぱい聞いてあげたいな」

「そうしてやれ。他には?」

「輩ちゃん!後輩なの!」

「……? ……えーっと、同級生だよね?
 あ、ハテコーって確か留学生も受け入れてるんだよな?
 年下なんだ?」

「ううん、ヤヤより誕生日早いから少しお姉ちゃんだよ!」

「後輩なの?」

「後輩だよ!」

「そっかあ」

「パトちゃんは飛び級で来たけどね~9歳の女の子だって!」

「へえ、小さいのに偉いなあ」

「エジプトのファラオなの……」

「なんて?」

「アミちゃんは業者さんで~、いつもお肉を持ってきてくれるんだよ~」

「精肉店出てきたな……」

「アミちゃんは優しいし、あっ、あのねえ!梟くんとねえ!エヘヘ!教えてあげない!」

「いいよもう今ので何となく分かっちゃったよ!
 話誤魔化すの下手くそ!」

「ひどーい!
 あ、あとね~、フロちゃんは可愛い縦ロールで、お嬢様っぽいの!」

「縦ロールだったらそりゃお嬢様っぽいでしょうよ」

「何とかしてタコ釣らせてあげたかったな~」

「お嬢様じゃなかったかもしれんな……」

「ミナくんは……ミナくんはすごいの!
 すっごく可愛くてすっごくカッコイイの!
 すごいんだよー!」

「すごいという情報以外何も伝わってこないの逆に凄いよ」

「なんだか悩みがあったみたいだけど、解決したみたい。よかった~」

「そうなんだ、良かったね。
 まあそんな賑やかなクラスに居たら悩みなんて些事かもなあ」

「彩くんは……七色になります」

「ゴブくんの系譜じゃん」

「たまにモノクロにもなります」

「ゲームボーイなの?」

「マリちゃんはおかし作ってくれてた~!
 ヤヤもちょこーっとつまんだけどね、美味しかった~」

「やっと一番まともそうな情報の子が来た!!
 話聞いてるだけで超疲れたが!?
 ハテコーなめてた!そのクラスヤベーよ!!

「でもみんなとってもいい子だよ~!!」

「それは分かるけどぉ……まあいいか。
 楽しく過ごしてるようで良かったよ。良かったねハテコー行って」

「うん!」

「ちょっと心配してたんだよなーヤヤのこと。
 ほら、中学の最後の方は不安そうにしてたじゃん。
 仲いい子できるかなーって」

「うふ、でも心配無用だったでしょ?
 二年に進級してもこのとおーりっ!元気にやってるもーん」

「みたいだな、杞憂で済んだ。
 ま、臨海学校終わってもその調子なら大丈夫だろ。
 また前みたいに連絡するからさ、その後も教えてよ」

「もち!ぬっくんも教えてねえ~」

「はいはい、じゃあまたなヤヤ」

「またね!」