最後のキロク
島であった出来事⋯⋯
きらりクンに連れられて⋯背負われて?拠点に置いてもらえることになったこと。
きらりクンに釣りに誘われて、お弁当の出来があんまりにもだったから、
鍋島クンに料理してる現場にお邪魔してもいいか聞いたこと。何度か手伝わせてくれたこと。
いずもりクンが謙遜してたから、つい怒りが湧いてきて早口で語っちゃったこと。
鍋島クンの手伝いをしていたところをスナップされてつい、自分からいずもりクンに話しかけてしまったこと。
⋯⋯きらりクンと、いずもりクンは私のことを『女の子』だと思っているって分かってしまったこと。
せららチャンとモンチャン、ナナちゃんにお風呂に誘われてしまったこと。断れなかったこと。
⋯⋯男の私が、女の子とお風呂に入ってしまうのはすごく、罪悪感がわいた。
いえない。いったらダメだとおもった。何を言われるかわからないから。安全じゃないかもしれないから。
発達がよくない私の体はあまり、女の子と遜色がないこともいやだった。
親に攫われなかったら、ちゃんと逃げ出せていたら、きっと背も、肩幅だってきっと男らしかったはずだって
そう考えてしまって、ムカつきすぎてどうにかなりそうだった。
いずもりクンはずっと気にかけてくれてた。よく話しかけてくれていたし、優しかった。
敵意がないっていずもりクンが私に伝えたいってことがおかしくて、よくわらった。
私が男だってイヤなことばかりなんだって本当のことを黙っていれば、
こうして友達になってくれる人がいるんだと思っていた。
『フェアでいたい』
キミがそう言ったとき、頭が真っ白になった。フェアって、なに。怒鳴りそうになるのを必死に抑えた。
フェアなことなんてひとつもない。現に、女の子を望んでるキミに、フェアなんかない。
怒りをぶつけそうになったのに、キミの笑顔が離れなくて、顔が良くて。推しに酷い言葉なんか言えなくて。
だから、『どちらの性別でもない』ススギくゃんにつけこんだ。
キミに、フェアってなんだか分からせるためでもあったし、自分がなにか、変われるのかもって
少しだけ思ってしまった。格付けチェックなんて遊びは、『性別の分けられた部屋の扉』を
開け閉めするための事前準備だった。どうやったら、怪しまれず部屋を跨げるのか。
ただ、それだけのためにみんなを付き合わせたんだ。
⋯たのしかったなら、それはそれで、よかった。
⋯⋯ごめんなさい。勇気がなくて、ごめんなさい。格なんてつけられるものじゃないのに、ごめん。
ずっとそればっかり考えてた。ずっと、ずっと。
みんながたのしい、っていうたびに自分の爪が剥がれる様なきもちだった。
私が男の子の部屋でみんなを待つ時、ススギくゃんが部屋の前までついてきてくれた。
それが、ススギくゃんを追い詰めることになることも、わかってた。
それを打ち明けても、ススギくゃんは許してくれた。ゆるすしか、なかったとしても。
だからもし、悩んでいたら。なんでも力になるって伝えた。
まさか重症のきらりクンがくるなんておもわなかったけど⋯⋯⋯
人付き合いが下手くそだってわかってたけど、自覚するとけっこうきつい。
その間もいずもりクンがそばにいてくれて、正解の探り方とか心構えとかを教えてくれてたんだ。
なんどもごめんって謝って、謝って、受け入れてくれて、うれしかった。
キミなら、ぜんぶあげていいとおもった。特別に、名前でよんでもらったり、とか。
受け入れてくれてありがとう。許してくれて、ありがとう。
みんなのことを信じてもいいって、やっとわかったよ。
男だって打ち明けるのに、私にとってはものすごくハードルの高いことだった。
自覚があやふやなんかじゃない。ずっと、否定されてきた。男だけど、女になりたいんでしょう。
女の子のつもりなんでしょう。いいとこどりなんでしょう、って。
ススギくゃんはまだ怒っていいって言ってくれた。
まだいずもりクンに話してない、私の過去のこと。ひっどいクソ親のこと。中学のこと。
似たもの同士じゃない、ただ愛されていたら⋯きっとススギくゃんと同じ悩みを抱えただろう。
実在する別世界の私みたいに、キミのことは推しているから⋯この先も目一杯飛び、羽ばたいて欲しい。
私は、いずもりクンと一緒に、めいっぱい生きるのを諦めないから。
2年1組になってよかった。みんなと出会えて、よかった。

きらりクンに連れられて⋯背負われて?拠点に置いてもらえることになったこと。
きらりクンに釣りに誘われて、お弁当の出来があんまりにもだったから、
鍋島クンに料理してる現場にお邪魔してもいいか聞いたこと。何度か手伝わせてくれたこと。
いずもりクンが謙遜してたから、つい怒りが湧いてきて早口で語っちゃったこと。
鍋島クンの手伝いをしていたところをスナップされてつい、自分からいずもりクンに話しかけてしまったこと。
⋯⋯きらりクンと、いずもりクンは私のことを『女の子』だと思っているって分かってしまったこと。
せららチャンとモンチャン、ナナちゃんにお風呂に誘われてしまったこと。断れなかったこと。
⋯⋯男の私が、女の子とお風呂に入ってしまうのはすごく、罪悪感がわいた。
いえない。いったらダメだとおもった。何を言われるかわからないから。安全じゃないかもしれないから。
発達がよくない私の体はあまり、女の子と遜色がないこともいやだった。
親に攫われなかったら、ちゃんと逃げ出せていたら、きっと背も、肩幅だってきっと男らしかったはずだって
そう考えてしまって、ムカつきすぎてどうにかなりそうだった。
いずもりクンはずっと気にかけてくれてた。よく話しかけてくれていたし、優しかった。
敵意がないっていずもりクンが私に伝えたいってことがおかしくて、よくわらった。
私が男だってイヤなことばかりなんだって本当のことを黙っていれば、
こうして友達になってくれる人がいるんだと思っていた。
『フェアでいたい』
キミがそう言ったとき、頭が真っ白になった。フェアって、なに。怒鳴りそうになるのを必死に抑えた。
フェアなことなんてひとつもない。現に、女の子を望んでるキミに、フェアなんかない。
怒りをぶつけそうになったのに、キミの笑顔が離れなくて、顔が良くて。推しに酷い言葉なんか言えなくて。
だから、『どちらの性別でもない』ススギくゃんにつけこんだ。
キミに、フェアってなんだか分からせるためでもあったし、自分がなにか、変われるのかもって
少しだけ思ってしまった。格付けチェックなんて遊びは、『性別の分けられた部屋の扉』を
開け閉めするための事前準備だった。どうやったら、怪しまれず部屋を跨げるのか。
ただ、それだけのためにみんなを付き合わせたんだ。
⋯たのしかったなら、それはそれで、よかった。
⋯⋯ごめんなさい。勇気がなくて、ごめんなさい。格なんてつけられるものじゃないのに、ごめん。
ずっとそればっかり考えてた。ずっと、ずっと。
みんながたのしい、っていうたびに自分の爪が剥がれる様なきもちだった。
私が男の子の部屋でみんなを待つ時、ススギくゃんが部屋の前までついてきてくれた。
それが、ススギくゃんを追い詰めることになることも、わかってた。
それを打ち明けても、ススギくゃんは許してくれた。ゆるすしか、なかったとしても。
だからもし、悩んでいたら。なんでも力になるって伝えた。
まさか重症のきらりクンがくるなんておもわなかったけど⋯⋯⋯
人付き合いが下手くそだってわかってたけど、自覚するとけっこうきつい。
その間もいずもりクンがそばにいてくれて、正解の探り方とか心構えとかを教えてくれてたんだ。
なんどもごめんって謝って、謝って、受け入れてくれて、うれしかった。
キミなら、ぜんぶあげていいとおもった。特別に、名前でよんでもらったり、とか。
受け入れてくれてありがとう。許してくれて、ありがとう。
みんなのことを信じてもいいって、やっとわかったよ。
男だって打ち明けるのに、私にとってはものすごくハードルの高いことだった。
自覚があやふやなんかじゃない。ずっと、否定されてきた。男だけど、女になりたいんでしょう。
女の子のつもりなんでしょう。いいとこどりなんでしょう、って。
ススギくゃんはまだ怒っていいって言ってくれた。
まだいずもりクンに話してない、私の過去のこと。ひっどいクソ親のこと。中学のこと。
似たもの同士じゃない、ただ愛されていたら⋯きっとススギくゃんと同じ悩みを抱えただろう。
実在する別世界の私みたいに、キミのことは推しているから⋯この先も目一杯飛び、羽ばたいて欲しい。
私は、いずもりクンと一緒に、めいっぱい生きるのを諦めないから。
2年1組になってよかった。みんなと出会えて、よかった。

「遭難してよかった~ ところでいつ異世界探検できるの?
⋯⋯うふふ、うそだよ。はやくお姉ちゃんと叔父さんに会いたい!」