Eno.756 クラリス・パーペチュアル

とある日記

クィラ、ロカ、アトラス、ヴィニア。

私と一緒に、一週間、共に生きた者たち。

前回より大きな島、前回より多い人数、前回より変わりやすい天候。
勝手が違うから大変だった。……嘘、そうでもない。ほんの少しだけ。
皆状況を把握して、受け入れて、生きるために行動していたから、私が一人で頑張らなくても良かったのは良い事。

サバイバルは、油断すると死を見る。
自分は大丈夫だと、自己管理を疎かにした者は、大半がその生命を散らす。
仮に生き延びれたとしても、そのほとんどが、心や身体に一生消える事のない傷を負う。
一生付き合っていかなくてはいけないそれに、耐え切れずに自殺する者さえいた。
だから、サバイバルは、油断してはいけない。

……私は、彼らを支える事ができただろうか。
傷付き、倒れかけた者が出た時、他の者たちが介護してくれたけど、その介護の穴埋めはできていただろうか。分からない。

ただ、分かる事もある。皆、話ができる、という事。

私が最初に居た世界では、話ができないひとも居て、問答無用で襲い掛かってくるひとさえ居た。
精神がおかしくなり、自分だけ生きようと、他人から奪おうと考えて、そういうひとほど、早くに死んでいった。

そんな光景を見てきたから、年の割に大人びているのは否定できない。

でも、私はそれでも良いと思っている。
話ができるひとでありたいから。

ロカがくれた、スチール製の缶を見る。
保存状態は良さそうで、多分、中のお菓子は無事。
これは、帰ってからゆっくり食べようと思う。

それから、実はトリも一羽ほど捕まえたままだったりする。
今までのトリの殆どが卵も産んでいたため、このトリも雌鳥と推定される。
……或いは雄鳥の可能性も否定できないけど、とにかく一羽、今ここに生きているのは確かだ。
持ち帰った先の環境に適応するかは知らないけど、あの島の過酷な環境で生きていたのだから、多分、恐らく、きっと大丈夫だろう。

帰って早々に業務を再開するのは大変だから、少し休みたい、というのは本当である。