Eno.76 リアムとフィン

10. 帰宅した

「元の世界に返す」と聞いた通り、リアムとフィンは見覚えのある港で船を降りた。
去って行く船にバイバイと手を振るフィンの後ろから、「おかえり」と声がかかる。

フィン
「しゅー! ただいまー!」

リアム
「随分アッサリしたアイサツじゃねぇか。
 オレら、一週間は行方不明になってたんじゃねぇの?」


うさぎのぬいぐるみと一緒に、ぴょーいと飛びついて行くフィンとは反対に、
リアムは訝しむ様子を隠しもせずに言い放つ。
フィンと同じ色の目をした、リアムよりもフィンの家族らしく見える少年は、

ストーニク
「なんとなく、元気にしてるような気はしていたから」


と、理由になっていない理由を平然と返した。

フィン
「あのねあのね! わたしとリアムくん、たくさんぼうけんしたの!」

ストーニク
「楽しかった? ふふ、良かったね。
 それじゃあ、帰り道で、大冒険のお土産話でも聞こうかな?」

リアム
「土産話っつっても、オレとコイツ以外にも遭難してたしなァ……
 そこから話すとなると、だいぶ長いぞ」


そうして三人の話し声は、どこかの世界の港町で、雑踏へと消えていった。