空想の先に、日常へ帰る。
船の上から、何かの影が見える
それはこっちに急速に向かって来てるようで。
この救助船より、遥かに小さい、
けれどスピードの出ているボートだ。
「……おい!
……おい!葉山!」
…ユラギの声だ。
ボートから身を乗り出し、こちらに向かって叫んでいる。
ボートの中には約6名、見覚えのある人も
見覚えのない、恐らくボートを動かす担当の人も居る。
「無事…かどうかは置いといて、
お前もそうなる気はしてたけどな。
島らしき島は見えなかったからもしやと思ったが…当たりだったな。」
「最近の俺達の"世界"は不安定だ。
…葉山、お前もそうであるようにな。
異なる"世界"に引き摺られる事があるんだよ。」
「お前の運が良くて本当に助かった。俺達が救出に向かったのが遅くて冷や汗をかいたが、その前に救助船が来ていたからな…」
「そうでなくても、あの島は凄く消耗するだろ?
…ぶっ倒れずに立っててくれて良かった。」
ユラギが俺の肩を持ちながらそう言う。
目の隈は酷く、やつれた顔だった。
「さあ、帰るぞ。
お前の事だ、《記録》してんだろ?
……頭、パンクさせるなよ?聞くことは沢山あるんだからな。」
「なあに、今更カフェインがぶ飲みしながら聞くなんて大した事ねぇよ、ここ2週間俺はそうしてたからな。」
「……いやそれは寝て!?」
そう言って、ボートの中に乗り込み、日常へと帰る。
俺にとっては1週間の無人島遭難、
だけどあの"世界"では2週間の行方不明だったらしい。
学校…は、まあなんとでもなるとして。
時差ボケ、大丈夫かな〜??
ま、時間感覚がおかしいなんて今更だ!
見えない未来を切り拓く"可能性"に賭けて、

「…空想の先の、日常へと帰ろう!」