無題
そうか、百目鬼の親族やら國見の連中が俺に『外で飲むな』『一人で飲むな』と言っていた意味がようやく解った。
俺…酒癖、滅茶苦茶悪いじゃん。
あまりの変貌に少し笑っちまうが、口元が引き攣れたくらいのものだろう。
巳溟に体を奪われてどのくらい経ったのか。
気力はとうに折れていた。
認識阻害のせいか誰にも俺が俺ではないと気づかなくて、どれだけ叫んでも声は届かなくて、見たくない物を見せられて。
自分の選択の結果とはいえ、折れないほうがおかしいだろ。
けれど蛇は俺が壊れる事を由としない。
限界になる寸前で、こうして優しい夢を見せる。
今回は少し前に起きた、ある島での出来事。
蛇は介入できなかっただろうから、俺が無意識下に覚えていた記憶を投影しているんだと思う。
…そっか。
あのめざしくれたの、毛玉だったのか。
酔って忘れてたなんて言ったら怒るかな。…怒るだろうな。
もやしにもちゃんとお別れ言えていたみたいだ。良かった。
今も元気でやってんのかな。
白衣着てたし医者とかなんだろうな。陽桜市に住んでたりしたら面白いのに。
他の奴らも無事に帰れたかな。
帰れてるといいな。
あの怪しい奴はまだ少し気になるが、この身ではもうどうしょうもない。
…雨ケ谷。
こんな醜態見たら認めるしかない。
好きだ。好きだった。今更、おせーけど。
羽崎と元気にしてたら嬉しい。

ああ、もうこの夢もおしまいみたいだ。
俺を船室に運んだ男の背が離れていくにつれ、映像はぼやけていき…やがて消えた。
………もう少し、見ていたかったな。
名残を惜しみ、見た夢の余韻が少しでも残るよう願いながら右目の瞼を閉じる。
くらい、いたい、つめたい、さみしい、こわい。
そんな気持ちに蓋をして、夢に縋る。
蛇の這う音や冷たい皮膚にも慣れてきたのに、体は鉛のように重くて動かないままだ。
ただ終わりを願う事しか出来ないまま、眠りに落ちていく。
どうか、もう目がさめませんように。
…そう祈って。
俺…酒癖、滅茶苦茶悪いじゃん。
あまりの変貌に少し笑っちまうが、口元が引き攣れたくらいのものだろう。
巳溟に体を奪われてどのくらい経ったのか。
気力はとうに折れていた。
認識阻害のせいか誰にも俺が俺ではないと気づかなくて、どれだけ叫んでも声は届かなくて、見たくない物を見せられて。
自分の選択の結果とはいえ、折れないほうがおかしいだろ。
けれど蛇は俺が壊れる事を由としない。
限界になる寸前で、こうして優しい夢を見せる。
今回は少し前に起きた、ある島での出来事。
蛇は介入できなかっただろうから、俺が無意識下に覚えていた記憶を投影しているんだと思う。
…そっか。
あのめざしくれたの、毛玉だったのか。
酔って忘れてたなんて言ったら怒るかな。…怒るだろうな。
もやしにもちゃんとお別れ言えていたみたいだ。良かった。
今も元気でやってんのかな。
白衣着てたし医者とかなんだろうな。陽桜市に住んでたりしたら面白いのに。
他の奴らも無事に帰れたかな。
帰れてるといいな。
あの怪しい奴はまだ少し気になるが、この身ではもうどうしょうもない。
…雨ケ谷。
こんな醜態見たら認めるしかない。
好きだ。好きだった。今更、おせーけど。
羽崎と元気にしてたら嬉しい。

ああ、もうこの夢もおしまいみたいだ。
俺を船室に運んだ男の背が離れていくにつれ、映像はぼやけていき…やがて消えた。
………もう少し、見ていたかったな。
名残を惜しみ、見た夢の余韻が少しでも残るよう願いながら右目の瞼を閉じる。
くらい、いたい、つめたい、さみしい、こわい。
そんな気持ちに蓋をして、夢に縋る。
蛇の這う音や冷たい皮膚にも慣れてきたのに、体は鉛のように重くて動かないままだ。
ただ終わりを願う事しか出来ないまま、眠りに落ちていく。
どうか、もう目がさめませんように。
…そう祈って。