Eno.424 湖畔の屋敷に住む少女

巡りゆく記憶

書置き&日記

 




――目が覚める。
全ての記憶を忘却した朝。
そう、トーカは、十日目に記憶を失うんだった。






ベッドの傍らに、家主サマが立っていた。
朝食は何が食べたい? と聞いてくるの。
トーカは、ぽかぽかのあたたかいたまごやきが食べたい気分ね。






朝食をいただいた後は、お屋敷の中を探検するの。
家主サマの部屋に入ると、たくさんのぬいぐるみが置いてあった。
なんだかうさぎのぬいぐるみが気になって、ずっと見ていたの。






そうしたら、家主サマがプレゼントしてくれるって言うの。
茶色と白色のうさちゃん。大事にするわ!






探検の後は、お屋敷のみんなとおやつの時間。
今日のおやつは、ひんやり冷たいアイスクリン。
誰が作ったのかしら? 瓶に沢山詰まっていたわ!






午後、強い雨が降ってきた。
外に出たっきり、ロクショーが戻ってこないって聞いたの。






あのね、トーカはね、透明になっていれば濡れないの。
探しに行ったら、湖の奥にある森でひとり、座り込んでいたわ。
お墓の場所なんだって。動かずに、ずっと寄り添っているみたい。






透明なまま見守っていたら、家主サマと使用人さんが来てくれた。
ここはもうすぐ浸水しちゃう。危ないから、一緒に帰ろうって。
透明になると、周りに白い小さな花が咲いてしまうの。
もしかしたら、トーカが見ていたのバレちゃったかも。






夜。狼のロクショーが、歌うように遠吠えをしている。
ラセンが、眠る前にとお茶を用意してくれたの。
フラワーティー、とっても落ち着く香りがしたわ!











真っ白なうさちゃんのぬいぐるみを、ぎゅっと抱きしめる。
みんなには内緒だけれど、ギィちゃんって名前を付けて、可愛がることにしたの。
こうしていると、ふわふわしてて、あたたかくて、すぐに眠くなっちゃった。





今日は素敵な一日だったわ。
明日もきっと、素敵な一日になるの。
だから、今は、おやすみなさい。



夢の中で、素敵な誰か島のみんなに会えたらいいな。