Eno.694 源柚月

後日談





⋯⋯⋯



「叔父さん、何者なの?」
「ユヅキが聞きたいって聞かなくて⋯答えなくていいから!」


そうこの姉弟はいうが、そろそろ頃合いだろうと言われていた。
似てないからイヤだと言ったのに、くじ引きで決まったこの役割は満更でもない。

俺の仕事は、この姉弟の保護と監視、そして⋯⋯


「ニシキ? ニシキって⋯」
「ニシキグループ、CMとかでやってんだろ。」
「何やってるかいまいちわからないあの胡散臭いやつ」
「胡散臭いいうな。お嬢は頑張ってんだから!!」
「誰?」「社長さんじゃない?ニシキマオさん。」


ニシキグループ。今や世界に支部をもつホワイト企業だが、
元々は裏社会の連中がこぞって集まってできた
ヤバい組織だった。それを現当主⋯錦マオが『NYで警官になるから解体するっス。じゃ』で
全員足をあらったのだ。⋯なんでも、海外でお嬢の上の兄弟や、弟の情報があると言って
飛び出したのが8年前⋯

その間も代々保護している三つのカタギ⋯一般人⋯⋯⋯
小鳥遊たかなし』『森苑もりその』『みなもと』の子供達は、ニシキ家にとって超重要文化財並みに扱われている。


先代、先先代、ずっと先の世代から惜しみない援助を行なっているが俺はそのシノギに
なんの価値も感じていなかった。ただのガキだ。それも筋金入りのクソガキ。
礼儀知らずで、傲慢で、自分さえ良ければいい。小鳥遊のガキ⋯モトコとかいったやつは特にそうだった。
源もおなじようなものだろう。そう思っていたからくじを引くのさえ嫌だった。


お天道様ってのはそういうのもみてんのかね。
俺ァすっかり、この姉弟の親代わりになりたいと思っている。




ユヅキがいなくなって7日、最初の2日ぐらいは姉貴が落ち込んで可哀想でならなかったのに、
いまや姉貴はケロっとして俺が慰められ続けられている。世界中探したっていないんだからそりゃ焦るだろ。
あいつ可愛いんだって。クソ野郎に売られてたらどうする。泣いてたらどうする。泣かしたやつ全員殺す。
俺ァ怖えぞクソがポン刀持たせりゃこわいもんは⋯


「あ、学校から昨日連絡あってさ。
 ユヅキかえってきたって。」




「叔父さん?聞いてる? はあ!?腰が抜けた!?
 ⋯⋯ 腑抜けがよ!!





「なんで昨日いってくれねえんだバカやろう!!!!」