Eno.635 シュリ

あめいろのゆめ

テントを張り重ねた薄暗い拠点の中、
兎のような姿が資材を倉庫に持ち込んだ。
倉庫の中では、骨や羽毛、タイヤなど、
大小様々な大量の物品が積み上がって山になっている。
隙間に作られたごく狭い作業場には、帳面に筆を走らせる少女と、
それに横からしがみついている白い子供がいた。

隣の倉庫には木の枝や丸太ばかりが積まれてこれまた山になっており、
その奥からは木を割る音が規則正しく、
雨が屋根を叩く音に混じって響いている。

拠点の入り口近くには、仮面の奥で目を光らせながら
何事かを書き綴る巨大な姿があった。
キノコの形をしたランタンが照らす部屋の隅の方には、
体調が悪いのかうなされながら寝込んでいる者がいる。
そばに転がるカラの瓶にはいったい何が入っていたのだろう。

石臼の置かれた調理場には3人の姿が見える。
二人の少女が楽しげに料理を分け合っているその横で、
もう一人の少女が真剣な目で手を動かしていた。
作っているのはプリンだろうか、カレーだろうか。
もう半刻も待てば、この場所には似つかわしくない
手の込んだ料理が出来上がることだろう。

拠点のすぐ外には、海賊帽子を被った金髪の少女が
マントを羽織って立っていた。
船の設計図を手に大量の木材でできた船体を眺めている。
もう一方の手に持っている瓶の中身はきっと雨水だ。
その足元にはたくさんの瓶を持ち出して
雨を貯めている小さな人形たちの姿があった。

雨が上がる。雲間から差し込む日の光が島全体を照らす。

布のかたまりが転がる浜辺から、陽気な天使が橋をかけた先の離島には、
羊のような実を抱えている鎧姿とその背後で蠢く黒い影がいた。

森を見れば、キノコが大量に生えた枝の上で木の実を啄む白い鳥がおり、
その下にある狩猟用のテントの中からは登山靴がちらと見える。
きっと今も幻の獣を狙っている者がいるのだろう。

岩場の暗がりには何者かの気配を感じる。
それは目には見えない、けれど魚を捕らえて運んでいる。
その不思議な光景の横をすり抜けるようにして、
小さな人形たちが漂着物の間を元気よく走り回っていた。


――これは、遠い海に見た、飴細工のような楽しく甘い夢のお話。