Eno.907 少女

塔の図書館のお話


これはその領域から帰ってきた後の話。




「そういう話だったわけですが」
  灰色の少女は口にする。
「ああ、だからお客さんも連れてきていたんだね」
  髪の長い少女は口にする。

「なかなかおもしろかったです。仕事はしましたが」
  灰色の少女は言葉にする。
「そうだろうね。私達はそういう仕事だし。……堪能してきたかい?」
  髪の長い少女は言葉にする。

「…………かなり」
  灰色の少女は声にした。

「…………ならよかった。じゃあ、今日は休んで構わないよ」
  髪の長い少女は立ち上がる。

「よろしいんですか?」
  灰色の少女は問いかけて、

「もう一人帰ってくるまではね」
  髪の長い少女は振り返る。

それだけ聞くと。
灰色の少女も立ち上がる。
行先は、これから休むべき場所。

――他の世界の海への旅路、客人を連れて行きながら。