Eno.232 伊藤看良

ながされた

急に無人島に流された。
どういうこと?

後ろ髪のと完全に連結が切れてる。
幻術もだめ。
呪術の力がまるきりなくなってしまったように感じる。
余程相性の悪い異界に来てしまったのかな……。

ただ、"寿"の術式そのものが消えたわけじゃないらしい。
あれを無遠慮に消されてたら俺は今こんなにピンピンしてない筈だ。
一時的に無効化されてるといったところか。
この件については戻りさえすれば何とかなりそうだと思う。

スマホが生きてるので帰還時の報告用に軽くメモを残していく。
戻ったらいつもの日記にも転記しよう。
これが遺品にならなければいいが。

幸いというかなんというか、流れ着いたのは俺一人じゃない。
同じクラスの奴がいくらか……先輩とか先生もちらほらいる。
人がいるお陰であまり慌てずに済んでいる。

無人島サバイバルなんて経験ないが、覚えのない記憶がぼんやり頭の中にある。
例えば真水の作り方とか。製材方法とか。

すごく古い知識のように感じる。
サバイバルっていうか、昔の人の生活?
後ろ髪のヤツの一部が俺の識に残ってるのかもしれない。

しばらくはおかでの暮らしを整えて、頭のいい人々に知恵を絞ってもらうとするか。