神託通信④『名前』

「神官よ、今日の報告をお願いします」

「さむらいに腕ひしぎ十字固めを喰らいました」

「何やったの~孫~
ちょくちょく仲間内で被ダメ増やしてるよね君ら」

「それはともかく教皇様、この石に書かれた文字が読めますか?」

「おや、それは?
島の中で拾った石に書かれていたのですか?」

「いえ、勇者が石に書いたものです。
読み方や意味を知りたいのです」

「この言葉の意味と読み方は『……』ですね。
しかし古代精霊語をご存知とは、勇者殿も底が知れぬ御仁だ」

「精霊語をまだ覚えてらしたのですね。
しばらく現役から遠ざかっていたのでは?」

「まだ若いものには負けませんよ。
かつて娘と共に、魔王に挑んだ精霊士としてはね」

「ま、そのご活躍は私たち現役が塗り替えますが」

「ぬかしよる。
ところで神官、話は変わりますが」

「おじいちゃん、ちっちゃい女の子の話は最初にやったでしょ」

「ロリコンのボケ老人扱いやめろ。名誉毀損のダブルバーガーか?
そうではなく、その島の情報は何か手に入りましたか?」

「拾った石碑に名前が書かれていたぐらいですね。
さむらいはこの島をかつてエゾデスの一部ではないかと言っていましたが……」

「ほう、さむらいちゃんが。
ではその石碑に書かれた内容はなんと?」

「『研鑽重ね究めた我が術が果ては、やがて海とひとつとなり、多くのものを蓄えるであろう。
外海の糧を飲み、富める海へと成った暁を我が見ることは叶わぬが、我は既に満たされた。
沈みゆく我が故郷レムリア、この碑に刻み記し、かの海へと遺さん。
どうか、意志なる晶を手にこの碑文を読む者が現れんことを祈る』と」

「レムリア」

「聞き覚えが?」

「邪神が食べた大陸と同じ名前ですね」

「は?」