Eno.1 勇者の日記

 

 






 俺は地の底で生まれた。
 正しくは洞窟状のゴブリンの巣で"戦利品"だったのか、ゴブリンの子供だったのか、
 もう知るすべはもうない。




「ゴブッ」



「ギャッギャ」



「コノプロジェクトニアサインサレマシタ。ASAPデオネガイシマス」




 ゴブリンに言葉を使えるほどの知能はない。
 足が2本あって手が2本ある小さめの存在を勝手に仲間と認識したのだろう。

 そのへんに転がって、獣の鳴き声に囲まれて正体のわからぬ肉や汁を与えられた。
 凄まじく腹が痛くなって高熱が止まないときもあった。


「…………」



 唯一看病してくれたのが、オイボレのゴブリンシャーマン。

「𐎭𐎠𐎡𐎩o𐎲𐎢𐎿o」



 そのゴブリンは不思議な鳴き声で鳴いた。
 彼の持って来る食事はなんだか嬉しかったし、痛くならない。

 美味しいを覚えたのは、そのときだろうか。












「グルルル……」




 すべてが破壊されるのも唐突。
 皆が丸い大きな白い石を持ってきたかと思えば、大きいのがついてきた。


「𐎹𐎢𐎢 𐎴𐎡𐎥e𐎽」



 オイボレに連れられて俺は暗い穴から出された。
 ゴブリン特有の細い爪が、腕に食い込んで痛かった。



 初めて見る緑と青の光景。
 後に言葉というものを知ってその場所の名前を知った。


 蒼き森、と。