Eno.9 神官イメルの日記

神託通信⑦『全部しゃべってみた』

「……と、いうわけです」


「えーっと」





「ちょっと今の報告の内容を繰り返しますね」


「はい」


「まず勇者殿が、
 自分が邪神の転生体であることに気づいたと」


「はい」


「そして勇者の使命である魔王討伐はしたくないと」


「はい」


「さらに、かつて邪神が食べつくした
 エゾデスの大地を復活させたいと」


「はい」


「でも邪神の胃袋は異世界と繋がっていたので、
 まず異世界とエゾデスを接続する魔法が必要になると」


「はい」


「その接続魔法に必要な
 7592万6200節という膨大な魔術式を、
 今アンちゃんがデスマで書いてると」


「はい」


「そして異世界とエゾデスを接続したら
 聖剣の力でエゾデスの近くまで島々を引き寄せると」


「はい」


「そんで私たち一族秘伝の雷の聖剣を
 おじいちゃんに相談なくさむらいちゃんに継承しちゃったと」


「はい」


「そしてアンちゃんが私のことを好きだったと」


「は?」






「さらに」






「勇者一行の方針は以上のようになったので
 エゾデスに残っている王族や貴族から暗殺されないよう
 私に裏工作と説得をしておいてほしいと」


「はい!」


「 」











「教皇様。
 教皇様は10年前、母と二人で魔王に挑みました」


「そんな少人数で戦わねばならなかったのは、
 当時、人類側のトップの意思がバラバラだったことが原因でした」


「王家貴族のしがらみから来る嫌がらせで、
 仲間はあなた達の元から離れ、
 たった二人のパーティーで魔王と戦わざるを得なかった」


「その後悔からあなたは10年間で
 今の地位と権力を手に入れた。
 私たち次代の勇者パーティーを権威から守るために」










「……」


「今がその時です」












「ク、クソ孫がよ~~~
 生意気に育ちやがって」







「ですがもう分かりましたから。
 人類側はなんとかするから。
 アンちゃんのご実家が大変な件もなんとかするから」








「お前はそのシマにいる仲間たちと一緒に」











「さっさと世界を救ってきなさい」