RECORD

Eno.460 アドリアードの記録

戦争のこと

銃を構える、照準に敵を入れる、引き金を引く。

銃を構える、照準に敵を入れる、引き金を引く。

銃を構える、照準に敵を入れる、引き金を引く。

銃を構える、照準に敵を入れる、引き金を引く。

銃を構える、照準に敵を入れる、引き金を引く。

銃を構える、照準に敵を入れる、引き金を引く。

銃を構える、照準に敵を入れる、引き金を引く。

銃を構える、照準に敵を入れる、引き金を引く。

銃を構える、照準に敵を入れる、引き金を引く。

銃を構える、照準に敵を入れる、引き金を引く。

銃を構える、照準に敵を入れる、引き金を引く。

銃を構える、照準に敵を入れる、引き金を引く。

銃を構える、照準に敵を入れる、引き金を引く。



同じことの繰り返し、だから戦場は屠殺場だ。

隣で味方が血を流して倒れていようと、
自分のやることは変わらない、変えられない。

傷を負えば手当をして、銃を構える。
砲弾の音がすれば、退避して銃を構える。
敵が近接戦闘を仕掛けてくれば、かわして銃を構える。

銃を構えて、撃つだけ。
動作を単純化して、感情をのせない。

数年間、戦場に身を置いた結果、
自分はまたも何も考えないでいた。

入隊時にはあったはずの猜疑心はいつのまにか消え去り、
死にたくないと思っていた熱は霧散していた。

それはきっと、現実逃避にも似ていたのだろう。
ただただ、無心に徹することで自分を守っていたのかもしれない。

それとも心が壊れてしまっていたのか。
荒みきっていたのか、今ではわからない。
もうあんな戦場に戻るつもりがないから。

戦場で戦ったあとは必ずビールを飲んでいた。
あれだけ不味く苦かった味は、いつのまにか喉に馴染んでいた。
不味いことには代わりないが、飲まないでいられなかった。

飲む時は、必ず壁に掛けられた遺影にグラスを掲げた。
なにを想ってグラスを掲げていたのか、そんなことは忘れた。



ある時、再編成された部隊でひとりの兵士と組まされた。
狙撃班として自分は狙撃役を、そいつは観測役。

口うるさくおせっかいなやつだった。
こちらが何も言わないことをいいことに、
ずっとダラダラと話している。

雑音でしかないと思って、無視していた。
だが、そいつが自分の銃の腕を褒めるのは、嫌ではなかった。

二人で組んで、戦場を彷徨う日々が半年ほど経ったころ、
雪中行軍のさなか、敵に囲まれてしまった。

狙撃班として常に敵陣から離れたところかつ、
人気もない場所を選んでいたにもかかわらず、
そいつが選んだ場所に敵が待ち伏せていた。

そして、自分たちは敵に捕まることとなる。



どうしてか、捕まった時の自分は、ひどく安堵していた覚えがある。