RECORD
Eno.50 Liber·O·Igreedの記録



ミカゼは、堰を切ったように泣いている。
返事だってロクに返ってこない。


雪が遠くの都市の光を照り返して、やけに赤い空を眺める。
日は暮れて、夜の帳が下りる。なのにいつまでも夕方の様に明るかった。

嗚咽を溢しながら、ようやく声を出した。


凍った地面に座りながら次の言葉が続くのを待った。









ミカゼを見る。ウッドカットのリーダーとしてクローンを指揮する純人間はそこにはなくて。ただの、愛した人を失った友人が居るだけだった。



ただ、部位が首だから。進行具合によっては全身が石になる前に、首の動脈や気管に影響して命に関わる事は間違いない。
それは言えなかった。
これ以上友人の心を崩したくなかった。
気休めの言葉を紡いで、今だ春の遠い雪の中。ミカゼが落ち着くまで僕らは外に居て。
部屋に戻った時、僕らはすっかり雪塗れだった。
⨭

「………誰も君の幸せを奪いたくはないのさ」

「誰もね」

「僕も言わなかったのは悪かった。
けど、君だって言ってないことがある。
そうだろ?」
ミカゼは、堰を切ったように泣いている。
返事だってロクに返ってこない。

「僕は魔導クローンなんだ。いつかは全身が魔力石になってしまう。
遅かれ早かれ。それが分からない君じゃないだろ?」

「以前の君なら……もっと話が通じたと思うんだけどなぁ」
雪が遠くの都市の光を照り返して、やけに赤い空を眺める。
日は暮れて、夜の帳が下りる。なのにいつまでも夕方の様に明るかった。

「ああ」
嗚咽を溢しながら、ようやく声を出した。

「ああ、そうだな……
変わったのは、俺かもしれない」

「アリィー……」
凍った地面に座りながら次の言葉が続くのを待った。

「愛してたんだ」

「けど、アリィーは長く生きられなくて」

「死んだんだ」

「俺の腕の中で」

「死なんて慣れた思ってた」

「なのに、苦しかったんだ」

「アリィーが死んだ時」

「俺は、泣くことしか出来なかった」

「…………」
ミカゼを見る。ウッドカットのリーダーとしてクローンを指揮する純人間はそこにはなくて。ただの、愛した人を失った友人が居るだけだった。

「それなのに、お前まで……」

「……僕の慢性症状は、比較的進行がゆっくりだ。
多分、聴劣化の魔力石の特性の一つなのかもな」

「その証拠に、抑制剤を打たず3ヶ月経ってもまだこれだけしか進んでない。
すぐには死なないって」
ただ、部位が首だから。進行具合によっては全身が石になる前に、首の動脈や気管に影響して命に関わる事は間違いない。
それは言えなかった。
これ以上友人の心を崩したくなかった。
気休めの言葉を紡いで、今だ春の遠い雪の中。ミカゼが落ち着くまで僕らは外に居て。
部屋に戻った時、僕らはすっかり雪塗れだった。